「頭痛なら頭痛薬」
「不眠なら睡眠薬」
私たちはつい“症状=治療”という直線的な発想をしがちです。
でも中医学は、症状の裏側にある 原因を読み取ろうとします。
その人の体質、生活、ストレス、気血の状態……
同じ症状でも原因が違えば治し方は変わる。
違う症状でも原因が同じなら治し方は同じになる。
これが中医学の「同病異治・異病同治」です。
病院ではまず「病名」が告げられます。
頭痛、不眠、生理痛、肩こり──
症状の名前で自分の体を理解しようとします。
しかし中医学は少し違います。
同じ病名でも
人によって原因がまったく違うと考えます。
病名が違っていても
体の状態が同じなら同じ治療が必要になることもあります。
① 同病異治:「同じ病気でも、原因が違えば治療が違う」
例えば「頭痛」を例に説明します。
頭痛という「同じ病気」でも……
Aさん
- 冷えが原因
- 血流が悪くなっている
- → 温めて血流を改善する治療
Bさん
- ストレスや緊張が原因
- 気の流れが滞っている
- → 気の流れを整える治療
Cさん
- 疲労・体力低下が原因
- 気血が不足している
- → 気血を補う治療
つまり、
「頭痛」という病名は同じでも、
頭痛を起こしている原因が違えば、治療も変わる。
これが同病異治です。
② 異病同治:「違う病気でも、原因が同じなら治療が同じ」
今度は逆です。
例えば、
Aさん:頭痛
Bさん:生理痛
Cさん:肩こり
一見すると、まったく違う病気・症状です。
しかし、3人とも
「瘀血(血の流れが滞った状態)」が共通した原因だったとします。
すると、
頭痛 ← 瘀血
生理痛 ← 瘀血
肩こり ← 瘀血
となり、
「症状は違っても、原因が同じなら、その原因を治す治療を行う」
これが異病同治です。
同病異治を図で説明すると
同じ症状・病気
↓
原因を調べる
↓
原因が違う
↓
治療も変わる
「頭痛」
│
┌──────┼──────┐
↓ ↓ ↓
冷え 気滞 気血不足
│ │ │
温める 気を巡らす 補う
異病同治を図で説明すると
違う症状・病気
↓
原因を調べる
↓
原因が同じ
↓
同じ方向から治療する
頭痛 生理痛 肩こり
│ │ │
└──────┬────┘
↓
瘀血
↓
血流を整える
西洋医学との違いからお伝えすると
西洋医学では
「病名」を治療の大きな手掛かりにします。
中医学では、
「なぜ、その人がその病気になったのか?」を考えます。
例えば同じ「不眠」でも、
- ストレスによる気滞
- 血の不足
- 陰の不足
- 心火が強いなど、背景が違えば治療が変わります。
逆に、
- 不眠
- 動悸
- めまい
- 生理不順と病名・症状が違っていても
共通して「血虚」という状態があれば
血を補うという共通した治療原則を考えることがあります。
同病異治・異病同治を火事と熱がこもった状態で例えてみると
同じ「火事」に見えても、原因によって消し方が違います。
油火災なら水をかけてはいけません。
電気火災も原因を考えずに水をかけるわけにはいきません。
つまり、
「火が出ている」という現象だけを見るのではなく、
「なぜ火が出たのか」を見て消し方を決める。
中医学もこれに似ています。
そして逆方向には、
火事ではなくても、原因が「熱がこもっている」という同じ状態なら、
その熱を冷ますという共通した考え方で治療を行います。
💁♀️中医学の本質
「病名を治す」のではなく
「病気を生み出している体の状態を治す」
同病異治
→ 病気が同じでも、体の状態が違えば治療を変える。
異病同治
→ 病気が違っても、体の状態が同じなら治療を共通させる。
病名 → 原因 → 病機 → 治療
【病名・症状】 なぜ、この人にこの症状が起きているのか?
↓
【病因・病機・体の状態】 何を整える必要があるのか?
↓
治療原則に基づき漢方薬・養生が決まります。
同病異治・異病同治とは
「病名から治療を決める」のではなく
「病機から治療を決める」という中医学の考え方です。
中医学は「病名を治す医学」ではなく
その人の体の状態を整える医学 です。
同病異治・異病同治という考え方は
症状の奥にある原因を見つけ
その人に合った治療を選ぶための大切な視点です。
自分の体を理解するヒントとして
ぜひ覚えておいてください。


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