アトピーだからこの薬という一律の治療では
良くなる人もいれば、なかなか改善しない人もいます。
中医学は
症状の裏側にある“原因の物語”を読み取る医学です。
赤み、ジュクジュク、乾燥、黒ずみ──
同じアトピーでも
体の状態が違えば治し方は変わります。
中医学の同病異治という考え方です。
アトピー性皮膚炎の“同病異治”をわかりやすく解説
アトピー性皮膚炎は
西洋医学では「炎症+バリア機能の低下」と説明されますが
中医学ではもう一歩踏み込み
「なぜ炎症が起きているのか」「体のどこが弱っているのか」 を細かく見ていきます。
そのため、同じアトピーでも
- 赤みが強い人
- ジュクジュクする人
- 乾燥してひび割れる人
- 夜にかゆみが強い人
- 黒ずみが残る人 など、体の状態によって治療法が変わります。
これが中医学の「同病異治」です。
1. アトピー性皮膚炎の中医学的な原因(病因)と体の状態(病機)
中医学ではアトピーを 「湿疹」「風湿瘡」「血燥瘡」 などに分類し
以下のような体の乱れが関わると考えます。
● 主な原因(病因)
- 風・湿・熱・燥 → 外からの刺激で皮膚に炎症やかゆみが起こる
- 脾・肺・肝・腎の弱り → 体の水分調整・免疫・血の巡りが乱れる
- 瘀血・痰湿 → 慢性化して皮膚が硬くなる、黒ずむ、治りにくくなる
● 病機(体の中で起きていること)
- 急性期:風・湿・熱が皮膚に滞り、赤み・かゆみ・ジュクジュクが出る
- 慢性期:血虚・陰虚・瘀血が加わり、乾燥・肥厚・色素沈着へ進む
2. アトピーのタイプ別(同病異治)と治療方針
アトピーの症状は同じでも、体の状態が違えば治療が変わります。
① 風熱型(赤み・熱感・かゆみが強いタイプ)
体の状態
風と熱が皮膚にこもり、炎症が強く出ている。
特徴
- 赤い
- 熱っぽい
- かゆみが強い
- 黄色い滲出液が出ることも
悪化しやすいもの
汗・ストレス・暑さ
問診ポイント
- 皮膚が赤く熱を持つ?
- 黄色い汁が出る?
処方の方向性
消風散+黄連解毒湯 → 皮膚の熱を冷まし、炎症を鎮める
② 湿熱型(ジュクジュク・腫れ・かゆみが強いタイプ)
体の状態
湿(余分な水分)と熱が皮膚に停滞している。
特徴
- ジュクジュク
- 腫れ
- ベタつく
- かゆみが強い
悪化しやすいもの
湿度・甘いもの・辛いもの
問診ポイント
- ジュクジュクしている?
- 食事で悪化する?
処方の方向性
龍胆瀉肝湯+茵陳五苓散 → 湿熱を取り除き、ジュクジュクを改善
③ 血虚風燥型(乾燥・ひび割れ・慢性化タイプ)
体の状態
血が不足し、皮膚に栄養が届かず乾燥している。
特徴
- 乾燥
- 粉をふく
- 色素沈着
- 慢性化しやすい
悪化しやすいもの
乾燥・季節の変わり目
問診ポイント
- 粉をふくほど乾燥する?
- 夜にかゆみが強い?
処方の方向性
当帰飲子 → 血を補い、皮膚を潤す
④ 陰虚血熱型(赤み+乾燥+夜間悪化タイプ)
体の状態
体の潤い(陰)が不足し、余分な熱が皮膚を刺激している。
特徴
- 赤み
- ほてり
- 口が渇く
- 夜にかゆみが悪化
悪化しやすいもの
疲労・ストレス・夜間
問診ポイント
- 赤みと熱感がある?
- 口が渇く?
処方の方向性
知柏地黄丸+消風散 → 陰を補い、虚熱を冷ます
⑤ 瘀血阻滞型(黒ずみ・治りにくいタイプ)
体の状態
血の巡りが悪く、皮膚の再生が遅れている。
特徴
- 黒ずみ
- 皮膚が硬い
- 色素沈着
- 治りにくい
悪化しやすいもの
こすれ・慢性化
問診ポイント
- 黒ずんでいる?
- 治りが遅い?
処方の方向性
血府逐瘀湯+→ 血流を改善し、皮膚の再生を促す
3. 処方の目的
- 消風散+黄連解毒湯 → 赤み・熱感・強いかゆみを冷ます
- 龍胆瀉肝湯+茵陳五苓散 → ジュクジュク・腫れを改善
- 当帰飲子 → 乾燥・ひび割れを改善
- 知柏地黄丸+消風散 → 夜間のかゆみ・ほてりを鎮める
- 血府逐瘀湯 → 黒ずみ・治りにくさを改善
4. まとめ
アトピー性皮膚炎は
「風・湿・熱・血虚・陰虚・瘀血」 のどれが中心かによって治療が変わります。
中医学の治療は
- 炎症を取り除く(祛邪)
- 皮膚を育てる力を補う(補虚) という二本柱で進めます。
同じアトピーでも
体質・生活環境・症状の出方は人によって違います。
問診で体の状態を丁寧に見極め
あなたに合った処方を選ぶことがとても大切です。
症状は“結果”であり原因は人それぞれ。
中医学は
その人の体がどんな状態で
何が乱れているのかを丁寧に見つめます。
同病異治という考え方は
アトピーを「あなた自身の体質」として理解するための大切なヒントです。
病名にとらわれず、体の状態を整える──
その視点が、改善への道を静かに開いていきます。


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