HbA1cは「血糖の平均値」と説明されることが多いですが、
実際にはもっと深い意味があります。
どうして“今日の血糖”ではなく“過去の血糖”が分かるのか。
その答えは、赤血球の寿命とヘモグロビンの性質にあります。
まずは、HbA1cがどのように作られるのかを順番に見ていきましょう。
HbA1cは、どうやって作られるの?
① まず、食事をすると血糖が上がります
ご飯、パン、麺、果物などに含まれる糖質は
消化されて**ブドウ糖(グルコース)**になり、血液の中に入ります。
すると、
「血液の中を流れているブドウ糖が増える」
ので、血糖値が上がります。
食後に血糖が上がること自体は、誰にでも起こる正常な反応です。
② インスリンが働いて、血糖を下げます
血糖が上がると
膵臓のβ細胞からインスリンが分泌されます。
インスリンは、
「血液中のブドウ糖を、筋肉や脂肪などの細胞の中に取り込んでください」
という指令を出すホルモンです。
正常にインスリンが働けば
食後に上がった血糖は徐々に下がっていきます。
ところが糖尿病では、
- インスリンが十分に働かない
- インスリンの量が足りない
- 両方が起こっている
などのため、血糖が下がりにくくなります。
③ 血糖が高い状態が長く続くと……
ここがHbA1cを理解する一番重要なところです。
血液の中には赤血球が流れています。
赤血球の中にはヘモグロビンというタンパク質があります。
血液中のブドウ糖が多い状態が続くと、
ブドウ糖がヘモグロビンに少しずつ結合します。
このブドウ糖が結合したヘモグロビンが、
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。
血糖が高い
↓
血液中のブドウ糖が多い
↓
ヘモグロビンにブドウ糖が結合しやすくなる
↓
HbA1cが増えるという関係です。
HbA1cは
血糖への曝露によってヘモグロビンが糖化された状態を反映しています。
④ なぜ「今日の血糖」ではなく「過去の血糖」が分かるの?
赤血球は平均して約120日生きています。
その間、赤血球は血液の中をずっと流れています。
そのため、
「その赤血球が生きている間、どれくらい血糖にさらされてきたのか」
がHbA1cに反映されます。
HbA1cは120日間を均等に反映するわけではありません。
直近約1か月の血糖の影響がより大きく
過去2~3か月程度の血糖状態を反映すると考えると分かりやすいです。
⑤ だからHbA1cの「%」が重要です
「HbA1cの8%って、血糖が8%ということですか?」
→✖
「いいえ。血糖が8%という意味ではありません。」
HbA1cの8%は、
「ヘモグロビンのうち、糖が結合したHbA1cがどのくらいの割合を占めているか」
を表しています。
そして
HbA1c 8.0%は
平均すると約183 mg/dLの血糖状態に相当する推定値です。
⑥ 「血糖の平均点」と考えるとわかりやすい
1日の血糖は、
食事
↓
血糖上昇
↓
インスリン分泌
↓
血糖低下
また食事
↓
血糖上昇
↓
インスリン
↓
血糖低下と上下しています。
ところが
血糖が高い時間が長い
↓
ヘモグロビンに糖が結合する量が増える
↓
HbA1cが高くなるという関係があります。
HbA1cは
血糖値の一瞬の状態ではなく
数か月間の血糖状態をまとめて見せてくれる数字
HbA1cは
自己測定血糖の一回の値とは意味が異なります。
HbA1cは、過去の自分を責める数字ではありません。
この数か月
血糖がどのくらい高い時間を過ごしていたのかを教えてくれる数字です。
これから血糖が高い時間を減らしていけば
次のHbA1cにもその変化が表れてきます。
HbA1cが高い
↓
血糖が高い時間が長かった
↓
ヘモグロビンに糖が多く結合した
↓
HbA1cが上がった
逆方向には、
食事・運動・薬・体重などを見直す
↓
血糖が高い時間を減らす
↓
ヘモグロビンに糖が結合する量が減る
↓
HbA1cが徐々に下がるということが期待できます。
👉まとめると
HbA1c=8%というのは
血糖が8%という意味ではありません。
血液の中には赤血球が流れていて
その中にヘモグロビンというタンパク質があります。
血糖が高い状態が続くと
血液中のブドウ糖がヘモグロビンに少しずつくっつきます。
これがHbA1cです。
赤血球は平均約120日生きていますので
HbA1cを見ると、今日の血糖ではなく
ここ1~2か月を中心とした過去2~3か月の血糖状態が分かります。
例えばHbA1cが8%なら
平均すると血糖は約183mg/dLに相当する状態です。
HbA1cは
血糖が高い状態に身体がどれくらいさらされていたかを教えてくれる数字
そして大事なのは
これは変えられる数字だということです。
血糖が高い時間を少しずつ減らしていけば
次のHbA1cにも変化が出てきます。
HbA1cを下げることだけを目標にするのではなく
『身体が高い血糖にさらされる時間を減らす』ことを一緒に考えていきましょう。」
HbA1c=血糖そのものではなく
血糖曝露を間接的に表す指標なのです。
HbA1cは、過去の自分を責めるための数字ではなく
この数か月、血糖がどれくらい高い時間を過ごしていたかを教えてくれる指標です。
そしてこの数字は
生活習慣や治療によって確実に変えていくことができます。
血糖が高い時間を少しずつ減らすことが
次のHbA1cの改善につながります。


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