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婦人科疾患とエストロゲン

目次

1.婦人科疾患に関与しているエストロゲン

思春期以降の女性特有の疾患、いわゆる婦人科疾患の病因、病態には何らかの形で

エストロゲンが関わっています。代表的な婦人科疾患に子宮筋腫があります。

これは子宮に発生する良性腫瘍で、30から40代の女性の30%前後に存在している

非常に高頻度な疾患です。症状は発生部位によりさまざまで、よく見られる症状は

月経量が多い、月経が長引く、これらの結果で起こる貧血などであります。

また、子宮筋腫が発育すると腹部に固いしこりを触知するようになります。

子宮の内腔に突出するような子宮筋腫は不妊の原因ともなり、妊娠しても流産、

早産などのリスクが高まります。しかし、妊娠出産は子宮筋腫を抑える働きもしており、

出産回数が多くなるほど、子宮筋腫の発生率は低下しています。


2.高頻度でみられる婦人科疾患

子宮筋腫とともに高頻度でみられる婦人科疾患に、子宮内膜症があります。

子宮の内腔を覆っている子宮内膜組織がはがれ、血液とともに体外へ排出されるのが

月経です。ところが、子宮内膜とよく似た組織が子宮以外の場所で発生、発育し、月経痛や

不妊を引き起こす病気があります。これが子宮内膜症です。

卵巣に発生すると卵巣内に血液がたまり、卵巣が腫れてきます。これはチョコレート嚢胞と

いわれています。子宮内膜症は約10人にひとりにみられ、子宮筋腫とともに子供を産まない

女性によく発生する傾向にあります。妊娠しないこと、あるいは初経年齢が低下する

といったことがリスク要因になります。

まさにこれは現代女性に当てはまる疾患であり、このことが両疾患が“現代病”ともいわれる

ゆえんです。また、両疾患とも思春期前には発生せず、閉経以降は自然に退縮します。

つまり、エストロゲンが発生、発育に関与しており、エストロゲン依存性疾患といわれています。

しかし、エストロゲン濃度が正常よりも高いということではありません。


3.子宮体がんに関与しているエストロゲン

エストロゲンの分泌調整系の異常、あるいはある種の薬剤、たとえば抗精神病薬んどの

服用により、卵巣機能が乱されると子宮体がんが発生しやすくなります。子宮体がんとは、

受精した卵が着床する場である子宮内膜という組織から出るがんです。

順調に月経がある女性では、月経時に薄くなった子宮内膜が月経が終了するころから再度増加し始め

その結果、子宮内膜が厚くなります。排卵後には卵巣からエストロゲンに加え、

黄体ホルモンも分泌されます。黄体ホルモンは子宮内膜細胞の増殖を抑え、妊娠が可能と

なるような準備状態を作り出します。妊娠が成立しないと、排卵後約2週間でエストロゲン、

黄体ホルモンともに分泌が低下し、その結果、子宮内膜が剥脱します。

これが血液とともに排出されるのが月経です。

もし、排卵が起こらないと黄体ホルモンは分泌されず、エストロゲンのみがだらだらと

分泌されます。たとえ少量であっても半年以上エストロゲンが持続的に分泌された状態が

続くと、子宮内膜細胞は増殖し、病的に肥厚します。この状態を子宮内膜増殖症といいます。

さらに、無排卵の状態が持続すると子宮内膜増殖症の一部は子宮体がんへと進行します。

このような場合には、定期的に黄体ホルモン製剤(プロゲストーゲン)により人工的に

月経を誘発すると子宮体がんリスクを軽減できます。


4.乳がんに関与しているエストロゲン

エストロゲンは、乳腺の発育を促す代表的なホルモンであり、乳がんの発生に

密接に関与します。初経年齢が早いことや、閉経年齢が遅いことは乳がんのリスク因子

となります。また、体質的に乳がんにかかりやすい女性が、婦人科疾患により両側の

卵巣を切除すると、乳がんのリスクが低下します。さらに閉経を迎えた女性に対して

エストロゲンの作用を打ち消すような薬剤を服用すると、乳がんのリスクが低下します。

閉経後の女性に対して更年期障害などの症状の軽減の目的で行うホルモン補充療法と、

乳がんの発生リスクの関係は単純ではありません。

ホルモン補充療法としては、子宮がある女性にはエストロゲンと黄体ホルモン製剤を

併用します。この方法だと、乳がんの発生は20~50%程度増加するという報告が

ある反面、影響がないとする発表もあります。他方、子宮を摘出している女性に

エストロゲンを補充する場合には、エストロゲンを単独で投与すればよく、簡単には

理解しがたいことではありますが、この場合の乳がん羅患率は低下しています。

この説明として、エストロゲンと併用投与される場合の人工合成の黄体ホルモン製剤が

乳がんリスクと関係しているためであり、エストロゲン単独の場合では心配はないという

ことであります。しかし、黄体ホルモン製剤は多数あり、すべてが乳がんの発生率を

高めるものではなく、特に天然の黄体ホルモンは乳がんリスクには影響しないとも

いわれています。ただし、天然の黄体ホルモン製剤は我が国では一般には使用されていません。

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この記事を書いた人

埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。

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