1.エストロゲンは血管の老化を防ぐ
閉経前の女性は男性と比較して、動脈硬化による心筋梗塞や脳卒中などの
心血管系疾患を患うことが明らかに少ないです。しかし、閉経を過ぎると
心血管系の疾患が徐々に増えてきます。ここで重要なことは、年齢と関係して
増加するのではなく、閉経を契機として増加してくるということであります。
まだ月経がある時期に医学的理由で卵巣を摘除する、または40歳未満で
自然に卵巣の機能が廃絶した場合でも、脳血管障害のリスクが増大します。
これらの事実から、おそらくエストロゲンが血管の老化ともいえる
動脈硬化の進行を防いでいると考えられます。
エストロゲンは、血管系の老化防止という機序に加えて、直接心臓を守ることで
心筋梗塞を防いでいる可能性が最近発表されています。
心臓は平滑筋細胞からできていますが、エストロゲンは心臓を構成する細胞に
直接作用して、細胞が死滅することを防ぐとともに、細胞自体の機能を強化することが
示されています。
2.エストロゲンと脂質代謝を改善して血管を保護する
エストロゲンは、善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増やし、
悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを低下させます。
LDLコレステロールの低下作用のほうが優るので、総コレステロールは
低下することになります。ここでいう善玉、悪玉とは各々動脈硬化に対して
予防的に作用する、促進的に作用するという意味であります。
したがって、エストロゲンは血管の動脈硬化の進行を遅らせるように
働いています。
3.エストロゲンはうまく使うと心血管系の病気を防ぐ
閉経後にエストロゲンを補充すると、動脈硬化を防ぐことは可能なのでしょうか。
答えは、閉経後からのエストロゲンを投与するまでの間隔が短いほど動脈硬化の
進行を抑えることができるというのが、多くの専門家の考えです。
60歳未満、あるいは閉経後10年以内にエストロゲンを6年以上にわたり
補充すると、心筋梗塞による死亡率は低下するといわれています。
最近デンマークで行われた調査でも、閉経後2年以内にホルモン補充療法を
開始し、10年間程度投与すると、投与を受けない女性と比べると、心筋梗塞、
またはそれによる死亡が半減したことが明らかとなりました。しかもこの効果は、
投与をやめたあと少なくとも6年間は持続していました。ただし、脳卒中や
すべてのがんの発症はホルモン投与の有無で差はありませんでした。さらに、
エストロゲンとの関連が注目されている乳がんも、ホルモン投与で増加することは
なかったです。エストロゲンと乳がんの関係は単純ではなく、エストロゲン製剤と
併用して投与される黄体ホルモン製剤の種類などにより、乳がんのリスクは影響されます。


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