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エストロゲンは病原菌を追いやる

目次

1.生殖器から病原菌の侵入を防ぐエストロゲン

生殖に際しては、精子を体内に取り込む必要があります。

そのため、女性の性器は膣、子宮の内腔を通じて体外と骨盤内が交通しています。

したがって、精子とともに多くの病原菌も膣内に入り込んでしまいます。つまり、

女性の身体は受精を容易にするという代償として病原菌が体内に侵入するという

ジレンマを抱えています。

これを克服する仕組みとして、精子を優先的に子宮内へ進入させ、膣を越えて

子宮内へ移行する病原菌を防ぐメカニズムがあります。

これにはエストロゲンが関係しています。

膣内は外界と直接接しているため、解剖学的には体外からさまざまな雑菌が

進入しえる空間となっています。そこで、生殖を可能にする代償としての

解剖学的な弱点をカバーしているのがエストロゲンです。

エストロゲンが豊富に存在するとき、膣内にはデーデルラインという捍菌(細長い形状の細菌)

が多数生息しています。この菌は、病原性がなく膣内のみにとどまっていて、もちろん、

女性の身体になんの害も及ぼすことはありません。


2.外部の有害因子から守るエストロゲン

気道、消化管、生殖器などの内面は粘膜という組織で覆われていて、

粘膜がある部位は解剖学的に外部と直接つながっています。そのため、

自己以外の異物、すなわち細菌やウイルスなどの病原菌などの侵入門戸でもあります。

これらの部位では、どこかの粘膜で異物が侵入すると、全身粘膜で異物の侵入を

妨げるような監視体制が迅速にとられます。膣粘膜にはさらに特殊な防御機構があり、

そのシステムが稼働するためには、エストロゲンや黄体ホルモンが必要です。

精子が侵入する時期は排卵時です。排卵時まではエストロゲンが分泌され、

排卵以降は、さらに黄体ホルモンがエストロゲンとともに分泌されます。


①細菌感染

エストロゲンは、生殖器と無関係な感染症にも影響を与えています。

たとえば、閉経後の女性は膀胱炎などの尿路感染にかかりやすくなります。

エストロゲンの欠乏が尿路感染のリスクを高め、エストロゲンを補充すると

リスクは軽減します。


②マラリア感染

マラリア感染は減少したとはいえ、アフリカでは依然として猛威を奮っています。

WHOの報告では2010年度のマラリアによる死者は65万人を超えています。

そしてマラリアの原因となる病原菌に代表される原生動物の感染には性差があります。

小児はマラリアに罹りやすいが、15歳以上だと男性のは罹患率は2倍近くになります。


③寄生虫感染

多くの寄生虫感染は、ヒトや各動物と同様に男性(オス)の罹患率が女性(メス)よりも

高いです。しかも、感染しても女性(メス)のほうが重症化しにくい傾向があります。

その理由としては、男性(オス)のほうは社会行動が活発で広範に及ぶこと、食物の

種類に性差があること、なにより感染のリスクが高まるという解釈もあります。

多くの研究によると、テストステロンは感染のリスクを高め、エストロゲンは

感染に対して抑制的に作用しているといるということで寄生虫感染の性差を

説明しています。


④外傷

重症の外傷の経過にも性差があります。特に、閉経前の女性の経過は男性よりも

良好であります。動物実験でも、排卵期のエストロゲンの分泌が増加している時期では

外傷後の経過が比較的良いです。オスでもエストロゲンを投与すると、メスと同様の

経過を示すようになります。これらの事実から、生殖年齢にある女性は、種の維持

という特有の役割があり、それゆえ生命を脅かすような侵襲から守られているのでしょう。

以上のように、エストロゲンは生殖に直接関連する現象に深く関わる以外に、

外部環境中の有害因子の攻撃から女性の身体を守っています。


3.免疫関連疾患へのエストロゲンの対応

一般に、エストロゲンは免疫系を活性化させ、逆に男性ホルモンや、

黄体ホルモンは抑制的に作用するといわれています。免疫系を賊活するということは、

病原菌から身を守ることになり、エストロゲンの良い作用といえます。

しかし、時に過剰な免疫反応は自己の組織に対しても牙をむくことがあります。

このことは、免疫系の異常が関係している自己免疫疾患が女性に多いことと

関係しています。

例えば、甲状腺の機能が低下する慢性甲状腺炎(橋本病)、シェーグレン症候群、

全身性エリテマトーデス、強皮症などの自己免疫疾患者は女性に多いです。

関節リウマチ患者を男女とも健康人と比較すると、血中や病巣組織の男性ホルモン

濃度が低く、相対的にエストロゲンが高めです。したがって、自己免疫疾患のリスクは

免疫系を賊活するエストロゲンとそれを抑制する男性ホルモンとの比率により規定

されていると考えられています。なお、男性の関節リウマチに対しては、

男性ホルモンが有効だとする報告があります。

ここまで述べてきた自己免疫疾患以外にも、免疫系が関連すると考えられている

様々な疾患、例えば気管支喘息、ベーチェット病、アトピー性皮膚炎なども

エストロゲン分泌の変動が関連しているようです。

これらの病気は、エストロゲンが低下する月経期に増悪する傾向があります。

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この記事を書いた人

埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。

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