胃痛は
「胃が弱っている」「ストレスで胃が痛む」という一言では片づけられません。
中医学では、胃痛の背景にある
冷え・ストレス・食べ過ぎ・体質(陰虚・陽虚)・血流の滞り を細かく見ていきます。
同じ「胃痛」でも
人によって原因が違えば治し方も変わる。 これが中医学の「同病異治」という考え方です。
1. 胃痛のタイプ別(証型)と特徴
以下の6つのタイプは
胃痛の原因を中医学的に分類したものです。
① 寒邪犯胃(冷えによる胃痛)
体の状態
冷たい飲食や寒さで胃が冷え、動きが悪くなっている。
主な症状
- 冷たいものを食べると痛む
- 温めると楽になる
- 吐き気・嘔吐
- 冷え性
悪化しやすい条件
冷房・冷飲食・冬・夜間
処方の方向性
呉茱萸湯 → 胃を温め、冷えによる痛みを改善。
② 飲食停滞(食べ過ぎ・消化不良)
体の状態
暴飲暴食で胃が詰まり、動きが止まっている。
主な症状
- 食後の胃痛・膨満感
- ゲップ・腐敗臭の口臭
- 便秘または下痢
- 舌苔が厚い
悪化しやすい条件
脂っこいもの・甘いもの・早食い
処方の方向性
加味平胃散 → 食積を消化し、胃の動きを整える。
③ 肝気犯胃(ストレスで胃が張るタイプ)
体の状態
ストレスで肝気が滞り、胃の働きを邪魔している。
主な症状
- 胃の張り・痛み
- ストレスで悪化
- ゲップ・ため息
- イライラしやすい
悪化しやすい条件
精神的ストレス・怒り・緊張
処方の方向性
柴胡疎肝散 → 気の流れを整え、ストレス性の胃痛を改善。
④ 胃陰虚(胃の潤い不足)
体の状態
胃の潤いが不足し、乾燥と虚熱が生じている。
主な症状
- 乾燥感・口渇
- 空腹時に痛む
- 舌が赤く苔が少ない
- ほてりやすい
悪化しやすい条件
空腹・熱性食品(揚げ物・辛いもの)
処方の方向性
麦門冬湯 → 胃を潤し、虚熱を鎮める。
⑤ 脾胃虚寒(陽虚:胃が冷えて弱っている)
体の状態
胃の働きが弱く、冷えによってさらに機能低下している。
主な症状
- 温めると楽になる胃痛
- 手足が冷える
- 食後に疲れやすい
- 舌が淡く苔が白い
悪化しやすい条件
冷飲食・寒い環境
処方の方向性
理中湯 → 胃を温め、消化力を回復。
⑥ 瘀血阻滞(血流の滞りによる胃痛)
体の状態
血流が滞り、胃の周囲の経絡が詰まっている。
主な症状
- 刺すような固定性の痛み
- 夜間に悪化
- 舌が紫暗色
- 長期の胃の不調
悪化しやすい条件
慢性化・冷え・ストレス
処方の方向性
血府逐瘀湯 → 血流を改善し、痛みを和らげる。
2. 胃痛タイプ診断(セルフチェック)
□ 冷たいものを食べると痛む → 寒邪犯胃
□ 食後に痛む・膨満感 → 飲食停滞
□ ストレスで悪化・張る痛み → 肝気犯胃
□ 空腹時に痛む・口が渇く → 胃陰虚
□ 温めると楽・冷え性 → 脾胃虚寒 □
刺す痛み・夜悪化 → 瘀血阻滞
複数当てはまる場合は、体質が重なっている可能性があります。
3. 胃痛の生活養生(タイプ別)
● 寒邪犯胃
温かい飲食・腹巻・生姜湯 冷たいものを避ける
● 飲食停滞
腹八分目・ゆっくり食べる 脂っこいもの・甘いものを控える
● 肝気犯胃
深呼吸・軽い運動 ストレスをためない生活
● 胃陰虚
こまめな水分補給 刺激物を控える(辛いもの・揚げ物)
● 脾胃虚寒
温かい食事・スープ 冷たい飲食を避ける
● 瘀血阻滞
軽い運動・温浴 体を冷やさない
🌸まとめ
胃痛は「同じ痛み」に見えても
その背景には冷え、ストレス、食べ過ぎ、体質、血流など
さまざまな要因が隠れています。
中医学の同病異治は、
「痛みの原因を見極め、その人の体質に合わせて整える」ための考え方です。
自分の胃痛のタイプを知ることで
日常の養生や漢方の選択がより的確になり
改善への道が開けます。


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