風・寒・湿・熱の邪が経絡に侵入し、気血の流れを阻害することで発生する痛みやしびれ
現代医学では関節リウマチ、変形性関節症、神経痛などに相当します。
痹証の分類と治療法
痹証は、風・寒・湿・熱のどの邪が優勢かによって分類されます。
それに応じた治療法を選択
問診では 五臓・五志・六淫・七情・陰陽の虚実・痰飲・瘀血 を考慮し
病理と悪化条件を見極めます。
① 風痹(ふうひ・風邪が優勢なタイプ)
🔹 病理
- 風邪(ふうじゃ)が経絡を侵し、気血の巡りを阻害。
- 痛みが移動するのが特徴。
- 上半身に多い
🔹 悪化条件
- 気候の変化(特に風が強い日)
- 疲労、ストレス
🔹 問診のポイント
- 五臓: 肝(風を主る)
- 五志: 怒り、イライラ
- 六淫: 風邪(風の影響を受けやすい)
- 七情: 精神的ストレスで悪化
- 陰虚・陽虚: なし(初期は実証)
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし(長期間の気血不通で瘀血化する可能性あり)
🔹 主な症状
- 関節痛(痛む部位が移動)
- 手足のしびれ
- 風に当たると悪化
- 舌淡紅、苔薄白
- 脈浮
② 寒痹(かんぴ・寒邪が優勢なタイプ)
🔹 病理
- 寒邪が経絡を閉塞し、気血の流れが滞る。
- 痛みが強く、冷えると悪化する。
🔹 悪化条件
- 冷え、寒冷環境
- 冷たい飲食物の摂取
🔹 問診のポイント
- 五臓: 腎(陽気が不足)
- 五志: 恐れ、不安
- 六淫: 寒邪(冷えが関与)
- 七情: なし
- 陰虚・陽虚: 陽虚(特に腎陽虚)
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし(慢性化すると瘀血化)
🔹 主な症状
- 関節の激しい痛み(固定性)
- 刺痛
- 屈伸不利
- 冷えると悪化
- 温めると楽になる
- 舌淡、苔白
- 脈沈遅
③ 湿痹(しっぴ・湿邪が優勢なタイプ)
🔹 病理
- 湿邪が関節に停滞し、気血の流れを妨げる。
- 重く鈍い痛みが特徴。
🔹 悪化条件
- 雨天、高湿度
- 冷たいものの摂取
- 運動不足
🔹 問診のポイント
- 五臓: 脾(湿をさばく臓)
- 五志: 思慮過度(脾を傷つける)
- 六淫: 湿邪(湿度が高い時に悪化)
- 七情: なし
- 陰虚・陽虚: なし
- 痰飲: あり(湿邪が滞る)
- 瘀血: なし
🔹 主な症状
- 重だるい関節痛
- むくみ
- 天気が悪いと悪化
- 舌苔厚膩
- 脈滑
④ 熱痹(ねっぴ・熱邪が優勢なタイプ)
🔹 病理
- 熱邪が経絡に滞り、炎症を引き起こす。
- 関節が腫れて熱感がある。
🔹 悪化条件
- 炎症、感染
- 辛い食べ物、アルコール
🔹 問診のポイント
- 五臓: 肝・胆(熱を帯びやすい)
- 五志: 怒り(肝火が旺盛)
- 六淫: 熱邪(発熱や炎症)
- 七情: ストレスで悪化
- 陰虚・陽虚: 陰虚(体液不足)
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし(慢性化で瘀血化)
🔹 主な症状
- 関節の腫れ、赤み、熱感
- 口渇、発熱
- 便秘、尿が濃い
- 舌紅、苔黄
- 脈数
🔹 まとめ
痹証の治療は、風・寒・湿・熱のどの邪が優勢かを見極めることが重要です。
1.ヒトにとって痛みとは
1.痛みと医療
2.痛みに対する西洋医学と漢方医学の違い
3.西洋医学が苦手な痛みもこうして治せる
2.痛みに対する漢方治療“漢方薬にはいわゆる鎮痛薬はない?”
★痛みに対する漢方的分類に対する漢方的分類★
1.外因(環境が原因)による痛み
2.風邪による痛み
3.寒邪による痛み
4.湿邪による痛み
5.内因(体の内面のストレスなどが原因)による痛み
6.七情(気・怒・憂・思・悲・恐・驚;身体的,精神的ストレス)による痛み
7.食事の不摂生や慢性疲労による痛み
8.その他の原因による痛み
9.外傷による痛み
10.痛みの大まかな分類
★虚痛
★実痛
3.痛みの漢方的診断法
(1)痛みの部位を確認する
(2)痛みの誘因を問う
(3)痛みの病歴を問う
(4)痛みの特徴を問う
(5)痛む時間を問う
(6)痛みの兼証を問う
(7)痛みを脈から診断する
(8)痛みを腹証(おなかの症状)から診断する
4.痛みの漢方治療
(1)寒冷刺激によって増強する痛みに対して
(2)痛みのある局所の熱状が強ければ
(3)血流障害,微小循環障害による痛みに対して
(4)痛みが体液の分布異常による場合には
(5)身体のあちこちに移動する痛み,心因性の痛みの場合には
(6)痛みが慢性で身体が消耗した場合
***
ご相談お待ちしています。
コメント