エストロゲンは糖代謝を改善する
食事として摂取された糖分は、体内で糖(グルコース)に転換されます。
血液中にある糖が血糖です。血糖はインスリンというホルモンの作用で
各細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。
このような一連の仕組みも糖代謝と呼びます。身体のいかなる組織でも、
糖代謝が正常に進行しないと、エネルギーを利用できないことで機能が低下します。
インスリンが分泌されなくなる、あるいは、インスリンは分泌されてもその作用が低下して
血糖が利用されずその結果、血糖が上昇する状態が糖尿病です。
前者は1型糖尿病であり、後者は中高年以降によくみられる2型糖尿病に相当します。
糖尿病の90~95%は2型糖尿病です。
1.エストロゲンが作られない男性
エストロゲンの受容体が欠損しているため、エストロゲンが全く作用しない男性や
エストロゲンが作られない男性は、糖尿病と似た状態となります。
動物実験でも、卵巣を除去してエストロゲンを低下させるとインスリンの作用が
低下することが観察されています。この場合、エストロゲンを投与すればインスリンは
正常に働くようになります。また生まれつき卵巣が発達せずにエストロゲンが分泌
されない女性は、糖尿病の頻度が高いという報告があります。
2.閉経後には糖尿病のリスクが高まる
エストロゲン分泌は、閉経の前後で急激に変化します。
糖を負荷することで一過性に分泌されるインスリン量は閉経後では低下しています。
おそらく、エストロゲンがなくなると、インスリンの分泌も減少するのでしょう。
糖尿病は閉経齢が早いほど糖尿病の発症率が高くなります。
40歳未満で閉経を迎えた女性の糖尿病の発症リスクは、平均的な閉経年齢(50~54歳)
の女性に比べて30%以上で、逆に閉経年齢(55歳以上)が遅くなると15%低くなります。
なお、糖尿病の発症には性差があります。
男性のほうが女性と比較して発症年齢が低く、また、年齢を問わず男性の糖尿病患者の割合は
女性の約2倍です。しかし、女性の糖尿病のほうが男性よりも深刻です。
なぜならば、糖尿病があると心筋梗塞による死亡リスクが男性では約2倍に上昇しますが、
女性では約3.5倍程度に跳ね上がるからです。
3.男女別ホルモン増減の注意点
女性では男性ホルモンの増加、男性では低下に注意が必要です。
では、男性ホルモンは、糖代謝にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
女性ではテストステロンなどの男性ホルモンが過剰に分泌されることがあります。
このような女性では排卵がなくなり不妊となることがあります。
また、テストステロンが過剰の状態では、インスリンの作用が低下します。
一方男性では、中高年以降にテストステロン分泌は減少しますが、特に減少が
著しいとインスリンの作用が低下することがあります。
この場合にテストステロンを補充するとインスリン作用は改善します。しかしながら、
テストステロンが正常に分泌されている男性に、さらにテストステロンを投与すると
インスリン作用は低下します。
すなわち、テストステロンは多くても少なくても具合が悪いということです。


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