子宮は周知の通り、妊娠を目的とした大切な臓器になります。
子宮の1番の機能は、子宮内膜に着床した受精卵を発育させることです。
妊娠中は、胎児の成長に合わせて、20~30倍まで大きく広がります。
毎月の月経は、妊娠に向けて準備した子宮内膜へ受精卵の着床が無かったために、剥がれ落ちることで起こります。
妊娠を希望している方にとって、月経は辛いものでもあるかと思いますが、
古い内膜をきれいにし、また次の妊娠にむけた準備に入るために必要なことでもあります。
そんな女性にとって大切な役割を担っている子宮。
前述の内容は知識として持っている方がほとんどだと思いますが、
では、子宮の大きさや構造について、みなさんはどのくらい知っているでしょうか?
自分の体のこと、男性にとっても妊活に励む奥様のために女性の体のことを理解しておくことはとても大切です。
本日は子宮の構造や仕組みについて、改めて詳しく解説していきたいと思います。
子宮の大きさはどのくらい?
そもそも子宮は普段どのくらいの大きさかご存知でしょうか?
大人の女性では、子宮はニワトリの卵ほどの大きさになります。
長さは7cmほどで、重さは60~70gなのでLサイズの卵ほどの重さになります。
次回、卵を手に取った時、「ああ、子宮ってこのくらいなんだな。」と、思い出してみてください。子宮としてみるときは、卵の細くなっている方を下にして見てくださいね。
【子宮の構造1.】子宮は2つに分かれる?
子宮は大きく2つに分かれます。
上2/3を子宮体部(卵の上2/3ですね)と言い、下1/3を子宮頸部と言います。
子宮体部の仕組み
子宮体部の上側を子宮底と言い、子宮体部の内側の空間を子宮腔と言います。
子宮の内側は内膜と接する部分になり、妊娠の際に着床し胎児を育てていく場所になります。
また、子宮体部の子宮内側(子宮腔)から外へむかって、子宮内膜・子宮筋層・子宮漿膜と層をなし、子宮の壁を作っています。着床に不利となってきます子宮筋腫や子宮腺筋症はこの部分にできることが多いです。
子宮内膜は、女性ホルモンの働きに応じて厚みが1mmから10mmぐらいまで変化します。
排卵前は内膜は厚くなり、受精卵を着床させる準備をします。
受精に至らなかった場合は不要になった内膜は剥がれ落ち(月経)、次の排卵に向けてまた準備をしていきます。
子宮筋腫や子宮腺筋症は悪性の腫瘍ではないですが、月経の出血量が多くなり、貧血を起こすこともあります。
また、筋腫により⼦宮の内腔がでこぼこすることで、着床しづらくなり、不妊や流産の原因となる場合があります。
子宮頸部の仕組み
子宮頸部には、子宮体部の子宮腔から膣につながる子宮頸管があります。
子宮頸管の子宮腔側(上部)を内子宮口、膣側(下部)を外子宮口と言います。
お産の時に出産へ向け”子宮口が開いているね”といわれるのは、膣側の外子宮口のことを指します。
【子宮の構造2.】子宮はおじぎをしている?
子宮は前屈と言って、子宮底(子宮の上側)は子宮頸部より前に少し倒れています。
また、子宮頸部も前傾といってやはり前に傾いています。
これが正常位置であるのですが、人によっては後傾(もしくは前傾がおだやかといった理解でもよいかと思います。)している方も居ます。
前傾と後傾の違いはどうして起こる?
では、前傾と後傾の違いはどうして起こるのでしょう?
これは、子宮と子宮頸部の間くらいの位置にある、仙骨と子宮をつなぐ仙骨子宮靱帯というものが影響しています。
仙骨とは、骨盤の中央に位置する骨で、上半身の体重を支えると同時に、その力を左右の二本の脚に伝える役目をしています。
正常な仙骨は、約30ー40°前傾していますが、子宮は骨盤にぶらさがっている臓器なので、骨盤がゆがむ=仙骨がゆがむことにより、子宮頸部が少し引っ張られたり、後屈してしまうため、子宮が強く前傾したり、後傾したりするのです。
以前は後傾前屈の子宮の持ち主も多くいましたが、現在は前傾前屈の子宮の方が増え、教科書にも『子宮は前傾前屈』と書かれるようになりました。
骨盤のゆがみと妊活の関係性
一見関係ないように見えますが、骨盤のゆがみは妊活にも大きく関係します。
骨盤のゆがみの影響で子宮や卵巣が正しい位置からずれてしまうと、血流が悪くなり、子宮に栄養が運ばれにくくなるのです。それにより女性ホルモンの分泌量が減少し、排卵されにくくなったり、子宮に受精卵が着床しにくい状態となり、妊娠しても胎児が育ちにくくなるということも起こり得ます。
そのため整体やヨガ、ピラティスなどで骨盤矯正をすることも、妊活の大切な第一歩になります。
また、骨盤のゆがみは妊娠中のマイナートラブル(腰痛)に記載したように、足腰の筋力の弱りも関係しています。
たくさん歩くことや、しゃがんで雑巾がけをしたり掃除をしたり、便利な道具をあえて使わずに自分の身体をたくさん使い、足腰を鍛えておくことも、日々の健康づくりにはとても大切だなあ。と改めて感じています。
鍼灸の患者様で現役でブリーダーをなさっている80代男性の方は、
『面倒だけどそれをわざわざやるんだ。』と言って日々のお仕事に励んでおられます。いつも背筋はピンと真っ直ぐで歩くスピードも速くしゃきしゃきとされています。
鍼灸に来てくださるたびに私も見習わなくてはなあと思います。
【子宮の構造3.】子宮は膜に覆われている?
子宮は腹膜といって表面が滑らかで、液体で湿った状態の薄い膜に覆われています。
これにより、摩擦が軽減され、体内で臓器が動く場合にスムーズに動けるようになります。
この腹膜には子宮のどの部位を覆っているかで細かく名前がついています。
子宮体部を覆う膜は子宮漿膜と言い、子宮の側面から骨盤壁を覆う腹膜を子宮広間膜と言います。
実際に子宮に接しているのは子宮漿膜のみになります。
子宮全体を覆う子宮漿膜をさらに細かく分けると、その膀胱と子宮の間のくぼみを膀胱子宮窩、子宮と直腸の間のくぼみをダグラス窩といいます。
子宮内膜症と関係の深い”くぼみ”
近年増加傾向にある子宮内膜症とは、子宮内膜が、卵巣や腹膜など正常ではない部位で発生し発育する病気です。
発生する場所により症状は変わり、卵巣内で発生すれば卵巣嚢腫を形成(チョコレート嚢胞)し、腹膜に発生すれば卵巣・卵管・腸の癒着が起こり、時には不妊の原因にもなります。
子宮内膜症はこのダグラス窩に最も多く発生します。
その次に卵巣(卵巣チョコレート嚢胞)、子宮漿膜にも出来ます。
ダグラス窩にできた子宮内膜症の有無は内診(膣に指や器具を入れて子宮を調べる)や直腸診を行い判断します。
※内膜症の内診で確認するポイント
【ダグラス窩にできた内膜症の場合】
子宮の後屈や可動性の制限の有無、子宮後面やダグラス窩の硬さの有無、また膣の付け根の辺りから子宮と仙骨を結ぶ靱帯の硬さの確認
【卵巣チョコレート嚢胞の場合】
痛みを伴った動きの悪い卵巣を確認
内膜症の症状がある方は内診で硬さを確認することが多いことからも、血液の流れが悪くなっていることが想像できます。
治療としては薬物療法や手術がありますが、一長一短ある治療であるため、どのような方針にするかは、年齢、症状の重症度、進行度、さらには妊娠希望の有無に応じて治療法を患者さん別に選んでいく必要があります。
鍼灸治療や漢方治療は、直接的なアプローチではないですが、いかに流れの悪い部分へ血液を届けていくかを大切なポイントにしております。
子宮に栄養を届ける血管を包む膜
子宮の周りにある血管(動脈・静脈)やリンパ管、尿管などを包む膜が子宮広間膜になります。
また、子宮の側面から骨盤までを包んでいるので、卵管や、子宮や卵巣を正しい位置に保つ靱帯や筋肉をも包んでいます。ちなみに卵巣は子宮広間膜に包まれずにお腹の中に飛び出しています。
鍼灸治療でお体を診させていただいている際に感じることですが、子宮の血流の悪い方(瘀血タイプ)だけでなく、体の乾燥(陰虚タイプ)の方にも下腹部のチクチクとした痛みを感じる方がいらっしゃいます。子宮を包む膜の表面は薄い液体に覆われていますので、陰虚タイプ(体の乾燥タイプ)ですと、その液体が少なくなることにより摩擦が強くなり、チクチクとした痛みを生じるのではと思います。
まとめ:血流を良くし、子宮環境を整えよう
専門的な話になりましたが、子宮の仕組みについて、前よりも少しご理解いただけましたでしょうか。
妊活において、子宮の環境はとても重要です。
そのためにも一貫して必要なことは、体の血流を良くすることであることはおわかりいだけたかと思います。
・体を温めること(冷え対策、食べ物、漢方や鍼灸治療)
・骨盤のゆがみを正しい位置に矯正すること
・水分補給
・入浴
・適度な運動(デスクワークなどの座りっぱなしの方は特に注意)
基本的なことにはなりますが、再度意識してみてくださいね。
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