目次
1. 帯状疱疹後神経痛(PHN)の中医学的病因・病理
中医学では、帯状疱疹後神経痛は「余邪未尽」「正気不足」「瘀血阻滞」「陰陽失調」などが関与し、慢性化する。
五臓では「肝」「脾」「腎」が主に関与し、特に瘀血や陰虚火旺が主要な病理機序となる。
- 五臓: 肝・脾・腎
- 五志: 怒(肝火)、思(脾虚)、恐(腎虚)
- 六淫: 風・湿・寒・熱
- 七情: 怒り・憂慮・過労
- 陰陽: 陰虚または陽虚
- 痰飲: ある場合もある(気血の運行阻害)
- 瘀血: ほぼ必発
2. 帯状疱疹後神経痛の主な証型
① 気滞血瘀型(瘀血阻絡)
病理
- 帯状疱疹後、瘀血が経絡に停滞し、気機不暢となり神経痛を引き起こす。
症状
- 痛みが刺すように強い
- 患部の色が暗紫色で、圧痛がある
- 局所が冷えたり、灼熱感を感じることがある
悪化条件
- 夜間や寒冷時に悪化
問診のポイント
- 疼痛の性質(刺痛 or 灼熱痛)
- 患部の色(紫暗)
- 舌: 暗紅、舌下静脈怒張
- 脈: 渋脈
② 肝火旺盛型(肝火犯絡)
病理
- 帯状疱疹後、肝火が盛んになり、経絡を灼き痛みを生じる。
症状
- 疼痛が激しく、灼熱感がある
- 口が苦く、イライラしやすい
- 目が充血し、舌が赤くなる
悪化条件
- ストレス、怒り、夜間
問診のポイント
- 疼痛の性質(灼熱痛)
- 口の渇き、目の充血
- 舌: 赤く苔が黄い
- 脈: 弦数脈
③ 脾虚湿阻型
病理
- 脾虚により湿邪が内生し、経絡を阻害して痛みを生じる。
症状
- 重だるい痛み
- 倦怠感が強い
- 食欲不振、軟便
悪化条件
- 湿気が多いと悪化
問診のポイント
- 疼痛の性質(鈍痛)
- 倦怠感の有無
- 舌: 淡胖、白膩苔
- 脈: 濡緩脈
④ 陰虚火旺型
病理
- 帯状疱疹後、陰血不足により虚火が生じ、神経痛を引き起こす。
症状
- 痛みが持続的で、灼熱感を伴う
- 口渇、寝汗、不眠
- 舌が紅く乾燥
悪化条件
- 夜間、疲労後
問診のポイント
- 疼痛の性質(灼熱痛)
- 口渇、寝汗の有無
- 舌: 紅、無苔
- 脈: 細数脈
☆まとめ
証型 | 病理 | 主な症状 |
気滞血瘀型 | 瘀血阻滞 | 刺痛、暗紫色 |
肝火旺盛型 | 肝火灼絡 | 灼熱痛、目充血 |
脾虚湿阻型 | 湿邪内阻 | 重だるい痛み |
陰虚火旺型 | 陰虚火旺 | 持続的な灼熱痛 |
その他のケア
- 外治法: 桃仁・紅花・川芎を含む外用薬
- 生活指導: 温めすぎない・ストレス管理・湿気を避ける
ご相談お待ちしています。
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