帯状疱疹(ヘルペス・ゾスター)
中医学では「蛇串瘡(じゃくちそう)」または「纏腰火丹(てんようかたん)」と呼ばれ
肝胆湿熱・気滞血瘀・正気虚弱が主な病因とされます。
目次
1. 帯状疱疹の中医学的分類
型 | 病理・病因 | 主な症状 | 悪化条件 | 問診のポイント |
肝胆湿熱型 | 肝胆の湿熱が経絡を塞ぐ | 皮膚の赤み・水疱・灼熱痛・苦い口・口渇 | 油っこい食事・ストレス・暑さ | 口の苦味、便の状態、舌苔 |
脾虚湿滞型 | 脾虚により湿邪が溜まり、皮膚に影響 | 皮膚の腫れ・粘稠な水疱・重だるい | 甘いもの・脂っこい食事・冷飲 | 胃腸の調子、疲れやすさ |
気滞血瘀型 | 瘀血が絡みに滞り、神経痛を引き起こす | 皮膚が暗紫色・強い神経痛・しびれ | ストレス・冷え・外傷 | 皮膚の色、痛みの性質 |
陰虚火旺型 | 陰虚による虚熱が発生し、神経を刺激 | 皮膚が乾燥・ヒリヒリする痛み・寝汗・口渇 | 夜更かし・過労・精神疲労 | 口の渇き、寝汗、舌の色 |
正気虚弱型 | 気血不足により回復が遅れる | 疱疹後神経痛・倦怠感・皮膚の色素沈着 | 免疫低下・疲労・加齢 | 倦怠感、食欲、舌苔 |
2. 各タイプの詳細
① 肝胆湿熱型(🔥炎症・痛みが強い)
病理・症状
- 肝胆に湿熱がこもり、気血の流れを阻害し、皮膚に炎症を起こす
- 皮膚が赤く、水疱があり、灼熱感が強い
- 苦い口、口渇、舌苔が黄膩(厚い黄色い苔)
② 脾虚湿滞型(🌀湿が多く、皮膚がジュクジュク)
病理・症状
- 脾の運化機能が低下し、湿邪が体内に滞る
- 皮膚の腫れ、粘稠な水疱、全身のだるさ
- 食欲不振、軟便、舌苔が白膩
③ 気滞血瘀型(💢痛み・色素沈着)
病理・症状
- 血の巡りが滞り、神経痛や皮膚の変色が残る
- 皮膚が紫色・刺すような痛み・皮膚の血行不良
- ストレスが多く、イライラしやすい
④ 陰虚火旺型(🔥虚熱でヒリヒリ)
病理・症状
- 陰虚による虚熱が神経を刺激
- ヒリヒリする痛み、皮膚の乾燥、寝汗、口渇
- 舌が紅く、苔が少ない
⑤ 正気虚弱型(💤免疫低下・後遺症)
病理・症状
- 気血が不足し、皮膚の修復が遅れる
- 疱疹後神経痛、倦怠感、免疫力低下
- 皮膚の色素沈着が長引く
まとめ
- 肝胆湿熱 →(炎症・痛みが強い)
- 脾虚湿滞 → (ジュクジュクした皮膚)
- 気滞血瘀 → (強い神経痛・色素沈着)
- 陰虚火旺 →(ヒリヒリ・乾燥)
- 正気虚弱 → (免疫低下・後遺症)
帯状疱疹は発症時の炎症期と
**後遺症(帯状疱疹後神経痛)**で治療法が変わるため
病期に応じた処方選択が重要です!
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