血府逐瘀湯は、「瘀血」が関与する幅広い疾患に対して「異病同治」の考えが適用されます。
例えば、「高血圧」と「月経痛」は異なる病態ですが、どちらも「血流の停滞(瘀血)」が関係しているため、同じ処方(血府逐瘀湯)が有効となるのです。
目次
適応症(血府逐瘀湯が用いられる主な疾病)
- 心血管系:心痛・高血圧、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞の予防
- 脳血管系:脳梗塞後遺症、めまい、頭痛、認知症予防
- 婦人科系:月経不順、月経痛、閉経後の不調、子宮筋腫、産後のうつ
- 精神神経系:不眠、イライラ、うつ、不安感
- 消化器系:胃痛、胃もたれ、食欲不振
- 整形外科系:肩こり、腰痛、関節痛、慢性疼痛
- 皮膚疾患:シミ、くすみ、皮膚のざらつき
用いる根拠(血府逐瘀湯が適応される理由)
血府逐瘀湯は「活血化瘀(血の巡りを良くする)+気の流れを整える」方剤であり、
「瘀血(おけつ)」が原因となるさまざまな疾病に応用できます。
瘀血の基本症状
- 慢性的な痛み(刺すような痛み・固定痛)
- 顔色が暗い・シミ・くすみ
- 皮膚の乾燥、唇の暗赤色
- 月経不順・月経痛・血塊が多い
- 不眠・精神不安・イライラ
方剤の方意と各生薬の配合目的
方剤の方意
- 活血化瘀(瘀血を改善)
- 行気止痛(気の流れを整え、痛みを和らげる)
- 養血調和(血を補い、体のバランスを整える)
各生薬の配合目的
生薬 | 目的 | 作用 |
桃仁(とうにん) | 活血化瘀 | 血流を改善し、瘀血を取り除く |
紅花(こうか) | 活血化瘀 | 血行を促進し、血の滞りを解消 |
川芎(せんきゅう) | 活血行気 | 血の巡りを良くし、頭痛や冷えを改善 |
赤芍(せきしゃく) | 活血止痛 | 血行を促進し、痛みを和らげる |
枳殻(きこく) | 行気解鬱 | 胸の詰まりを取り、気の流れを改善 |
柴胡(さいこ) | 疏肝解鬱 | 肝気を整え、イライラやストレスを軽減 |
桔梗(ききょう) | 宣肺利気 | 肺を開き、気血の巡りを助ける |
牛膝(ごしつ) | 引血下行 | 血を下へ引き、頭部の鬱血を防ぐ |
甘草(かんぞう) | 緩和諸薬 | 他の生薬の調和、鎮痛作用 |
まとめ
血府逐瘀湯は「瘀血(血流の滞り)」による病気に広く用いられ、
異病同治の代表的な処方の一つです。
瘀血が関係する多くの疾病に適応(高血圧・月経痛・頭痛・不眠・肩こり など)
血の巡りを改善し、気の流れを整えることで根本からの治療を目指します。
ご相談お待ちしています。
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