1. 十全大補湯を用いる疾病(適応症)
十全大補湯は、「気血両虚(きけつりょうきょ)」の状態に対して広く使用される方剤です。以下のような疾患に適用されます。
目次
1. 十全大補湯を用いる疾病(適応症)
(1) 内科系疾患
- 貧血(血虚によるめまい・動悸・顔色不良)
- 慢性疲労症候群(気血不足による倦怠感)
- 胃腸虚弱(脾気虚による食欲不振・消化不良)
- がんの補助療法(術後の体力回復・抗がん剤の副作用軽減)
- 免疫低下による反復感染(風邪をひきやすい、回復が遅い)
(2) 婦人科系疾患
- 月経不順・無月経(血虚による経血不足)
- 更年期障害(気血不足による倦怠感・冷え)
- 産後の体力回復(血虚による疲労・貧血)
(3) 皮膚疾患
- アトピー性皮膚炎(血虚による皮膚の乾燥・慢性炎症)
- 皮膚潰瘍・床ずれの治癒促進(気血不足による創傷治癒遅延)
(4) 神経系・精神疾患
- 抑うつ・不安神経症(気血不足による精神不安定)
- 記憶力低下・認知症予防(血虚による脳の栄養不足)
(5) 整形外科系疾患
- 骨折・外傷の回復促進(気血不足による治癒遅延)
- 腰痛・関節痛(血虚による筋肉の栄養不足)
2. 十全大補湯を用いる根拠
(1) 十全大補湯の基本作用
- 気を補う(補気):体力・免疫力を高める
- 血を補う(補血):貧血を改善し、組織の修復を促進する
- 陽気を温める(温補):冷えを改善し、新陳代謝を活性化する
- 気血の流れを良くする(活血化瘀):慢性疾患の治癒を促す
このため、気血不足が関与するさまざまな疾患に対して同じ処方(十全大補湯)が適応 される。「異病同治」の典型例といえる。
3. 方剤の方意(十全大補湯の処方意図)
十全大補湯は、四君子湯(補気)+四物湯(補血)+黄耆(補気)+桂皮(温陽・活血) で構成される。
5. まとめ
(1) 十全大補湯を用いる異なる疾病
- 貧血、慢性疲労、免疫低下、婦人科疾患、皮膚疾患、神経系疾患など 多岐にわたる
- 共通する病態は 「気血両虚」
(2) 異病同治の考え
- 「異なる疾病でも、根本の病因(気血不足)が同じならば、同じ方剤で治療できる」
- 十全大補湯は 「補気・補血・温補・活血」 の4つの作用で、多くの疾患に対応
十全大補湯は 気血不足による様々な疾患に対して、異病同治の視点で応用可能な代表的な方剤 といえる。
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