胃腸に食物が過剰に停滞し、正常な消化・吸収・運搬が阻害される病態を指します。
食滞が生じることで、胃の気の流れが阻害され、気滞や湿熱、痰飲などの二次的な病変を引き起こします。
目次
1.胃腸積滞が原因の食滞胃脘の病因(発生要因)
過食・暴飲暴食
- 大量の飲食により胃腸の消化能力を超える
脂肪分・糖分・油っこい食品の過剰摂取
- 消化機能を低下させる
冷たいもの・生ものの摂取過多
- 胃陽を損傷し、運化機能を阻害する
不規則な食習慣
- 食事の間隔が短すぎる、または夜遅くの食事など
ストレス・情志不快
- 気機の流れを阻害し、消化不良を助長する
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2.胃腸積滞が原因の食滞胃脘の病理メカニズム
胃内に食物が停滞
- 消化されない食物が胃に蓄積し、気滞を引き起こす
気機の阻害と運化機能の低下
- 胃気の上昇・下降が阻害され、脾の運化機能が低下
湿熱や痰飲の生成
- 未消化の食物が体内で発酵し、湿熱や痰飲を形成
影響の波及
- 胃だけでなく、肝・脾・大腸にも影響を及ぼし、さらなる機能低下を引き起こす。
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3.胃腸積滞が原因の食滞胃脘の影響を受ける臓腑と症状
胃
- 胃脘部の膨満感、痛み、消化不良、悪心、嘔吐
脾
- 食欲不振、疲労感、軟便または便通異常
肝
- 気滞による胸脇部の張り、イライラ感、情緒不安定
大腸
- 便秘または下痢、腐敗臭のある便
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4.胃腸積滞が原因の食滞胃脘の主な症状
- 食後の胃脘部膨満感・重だるさ
- 悪臭を伴うゲップ
- 吐き気・嘔吐(未消化物を含むことがある)
- 食欲不振
- 腹部の張りと不快感
- 舌苔が厚く、白または黄苔を伴う
- 脈が滑脈または弦脈
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5.胃腸積滞が原因の食滞胃脘の悪化条件
- 継続的な過食・暴飲暴食
- 不規則な食生活(特に夜遅くの食事)
- 冷たいものや脂肪分の多い食物の摂取
- ストレスや情緒不安定による気滞
- 運動不足による消化機能低下
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6.胃腸積滞が原因の食滞胃脘の問診ポイント
食習慣の確認
- 食事量、種類、時間
症状の出現タイミング
- 食後すぐの膨満感、胃の張り、痛みの有無
便通の状態
- 便秘、下痢、未消化便の有無
舌の状態
- 舌苔の厚さや色
ストレス・生活習慣の影響
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★まとめ
胃腸積滞が原因の食滞胃脘は、主に過食や不規則な食生活により胃腸に食物が停滞し、
消化不良や膨満感を引き起こす病態です。
治療の基本は、適切な漢方薬を用いて、胃腸の運化機能を改善し、積滞を解消することです。
生薬の配合は、消化促進、気の巡り改善、湿気の除去など、相互に補完しながら症状の改善を目指します。
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