浮腫:水液の代謝異常によって体内に余分な水分が滞る状態
中医学:水腫(すいしゅ)
五臓(肺・脾・腎)の機能失調や水湿の停滞が主な原因!
目次
🔹 浮腫の分類
浮腫は、**実証(外邪・気滞・水湿の停滞)と虚証(脾腎の陽虚・気虚)**に分類
問診では、五臓・五志・六淫・七情・陰陽の虚実・痰飲・瘀血 を考慮し
病理・悪化条件を見極めます。
① 風水(ふうすい・風邪による急性浮腫)
🔹 病理
- 風邪(ふうじゃ)が肺に侵入し、肺気の宣発・粛降機能が低下。
- 水液代謝が滞り、全身に急性のむくみが発生。
🔹 悪化条件
- 風寒や風熱にさらされる
- 急な気温変化
- 風邪をひいた後
🔹 問診のポイント
- 五臓: 肺
- 五志: 悲しみ(肺気を消耗)
- 六淫: 風邪(寒邪または熱邪)
- 七情: なし
- 陰虚・陽虚: なし(初期は実証)
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし
🔹 主な症状
- まぶたや顔が腫れる(急性)
- 風邪症状を伴う(悪寒・発熱・のどの痛み)
- 尿量減少
- 舌紅・苔薄白(風寒)または苔薄黄(風熱)
- 脈浮数(風熱)、脈浮緊(風寒)
② 水湿(すいしつ・脾虚による慢性浮腫)
🔹 病理
- 脾の運化機能が低下し、水湿が体内に滞る。
- 長期的なむくみ、だるさ、胃腸の不調が特徴。
🔹 悪化条件
- 過食、甘いもの・冷たいものの摂取
- 運動不足
- 湿度の高い環境
🔹 問診のポイント
- 五臓: 脾
- 五志: 思慮過度(脾を傷つける)
- 六淫: 湿邪(梅雨時・湿気が多い環境)
- 七情: ストレス、疲労
- 陰虚・陽虚: 陽虚傾向
- 痰飲: あり(湿痰)
- 瘀血: なし
🔹 主な症状
- 全身のむくみ(特に下半身)
- 胃腸の不調(食欲不振・下痢)
- だるさ、倦怠感
- 舌淡胖、苔白膩
- 脈緩滑
③ 腎陽虚(じんようきょ・腎の機能低下による慢性浮腫)
🔹 病理
- 腎の陽気不足により、水液の排泄が低下。
- 慢性のむくみが続き、冷えを伴う。
🔹 悪化条件
- 冷え、寒冷環境
- 過労、加齢
🔹 問診のポイント
- 五臓: 腎
- 五志: 恐れ、不安(腎を損傷)
- 六淫: 寒邪
- 七情: なし
- 陰虚・陽虚: 陽虚(特に腎陽虚)
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし(長期化で瘀血化)
🔹 主な症状
- 下半身を中心とした慢性のむくみ
- 冷え(特に腰や足)
- 疲れやすい、息切れ
- 夜間頻尿
- 舌淡胖、苔白
- 脈沈遅
④ 瘀血水停(おけつすいてい・瘀血による浮腫)
🔹 病理
- 血流が滞ることで水液代謝が阻害され、浮腫を引き起こす。
- 慢性のむくみと局所の痛みが特徴。
🔹 悪化条件
- 長時間の同じ姿勢
- 血行不良(冷え、運動不足)
- 月経異常
🔹 問診のポイント
- 五臓: 肝・脾
- 五志: 怒り・ストレス(気滞から瘀血へ)
- 六淫: なし(主に内因性)
- 七情: ストレス・過労で悪化
- 陰虚・陽虚: なし
- 痰飲: なし
- 瘀血: あり
🔹 主な症状
- 下半身中心の慢性的なむくみ
- 押すと痛みを感じる部位がある
- 肌が暗い、くすみ
- 舌紫暗、瘀点あり
- 脈沈渋
🔹 まとめ
浮腫の治療では、**原因(風・湿・腎陽虚・瘀血)**を特定し、適切な処方を選ぶことが重要です。
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