主に湿熱や気滞が関与する以下のような病症に用いられます。
- 適応症(適応する疾患)
- 消化器系の湿熱停滞(胃もたれ、腹部膨満、便秘・下痢の交互)
- 寄生虫疾患(回虫症、条虫症)
- 肝胆湿熱による不調(黄疸、肝炎、胆嚢炎)
- 下焦の湿熱(膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、白帯下)
目次
九味檳榔湯を用いる根拠
湿熱が腸胃や下焦に停滞し、炎症や消化器の不調を引き起こすため
九味檳榔湯は、湿熱を取り除き、気を巡らせ、消化機能を回復させる処方。
九味とは、九つの生薬がバランスよく配合され、広範な病態に対応することを示す
- 湿熱の排除 → 清熱燥湿薬で体内の余分な湿熱を取り除く。
- 理気消滞 → 気の流れを良くし、消化機能を改善する。
- 駆虫作用 → 腸内の寄生虫や異常発酵を抑える。
「異病同治」の原則に基づき、湿熱による多様な病態に適応
腹痛、下痢、膀胱炎、黄疸、寄生虫疾患など、共通の病理「湿熱」による疾患を治療する。
方剤の方意(九味檳榔湯の作用)
清熱燥湿(体内の熱と湿気を取り除く)
消化器や下焦にこもった湿熱を排除する。
行気消滞(気の巡りを良くし、消化機能を改善)
気滞による腹部膨満や消化不良を解消する。
駆虫止痛(寄生虫の駆除・痛みを抑える)
腸内の異常を整え、寄生虫による不快感を軽減。
理脾和胃(脾胃の働きを調整)
胃腸の機能を正常化し、消化不良を改善する。
各生薬の配合目的
生薬名 | 目的・作用 |
檳榔子(びんろうじ) | 行気消滞、駆虫(気の流れを良くし、寄生虫を排除) |
黄柏(おうばく) | 清熱燥湿(腸胃の湿熱を取り除く) |
黄連(おうれん) | 清熱解毒(胃腸の炎症を鎮める) |
厚朴(こうぼく) | 行気除満(気滞を解消し、胃腸の張りを抑える) |
木香(もっこう) | 理気止痛(気の流れを良くし、痛みを抑える) |
陳皮(ちんぴ) | 健脾行気(脾の働きを助け、消化を促進) |
大黄(だいおう) | 瀉下攻積(腸内の老廃物を排出) |
乾姜(かんきょう) | 温中散寒(胃腸の冷えを防ぎ、消化を助ける) |
甘草(かんぞう) | 調和諸薬(方剤全体のバランスを整える) |
まとめ
腸や下焦の「湿熱」が関与する疾患に広く適用
腹痛・便秘・消化不良・膀胱炎など、共通の病理に対して「異病同治」として応用
ご相談お待ちしています。
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