中医学における肩こりの考え方
肩こり(肩頸痛)は、気血の停滞、寒湿の侵襲、気血不足などが関係
五臓・気血津液・経絡の失調と密接な関係があります。
- 五臓との関係
- 肝:気滞・血瘀による経絡の阻滞(ストレスで悪化)
- 脾:気血不足による筋肉の栄養不足
- 腎:腎精不足による骨・筋の衰弱
- 肺:衛気不足による外邪の侵入
- 病因(六淫・七情)
- 風寒湿邪(冷えや湿気による血流悪化)
- 肝気鬱結(ストレスで気血の巡りが悪化)
- 瘀血(血の滞りによる経絡の閉塞)
- 脾腎陽虚(筋肉への栄養不足)
目次
肩こりの病証別の解析
風寒湿邪による肩こり
🔹 病理
- 風寒湿邪が経絡を閉塞し、気血の巡りを阻害
- 寒冷・湿気の強い環境で悪化、動かすと軽減
🔹 症状
- 肩が重だるい、冷えると悪化、押すと痛い
- 舌苔白膩、脈浮緊
肝気鬱結による肩こり
🔹 病理
- ストレスが原因で肝気の流れが滞り、気血が停滞
- イライラ・精神的緊張で悪化
🔹 症状
- 肩の張り感・締め付けられる痛み、ストレスで悪化
- ため息が多い、頭痛、月経不順(女性)
- 舌淡紅、苔薄白、脈弦
瘀血(血行不良)による肩こり
🔹 病理
- 瘀血が筋肉や経絡に滞り、血行不良で痛みが生じる
- 長時間同じ姿勢で悪化、夜間に痛みが強い
🔹 症状
- 肩が刺すように痛い、押すと強く痛む、舌が暗紫色、舌下静脈怒張
- 冷えや運動不足で悪化、温めると軽減
気血不足(脾胃虚弱)による肩こり
🔹 病理
- 脾胃の機能低下により、筋肉に栄養が行き届かず肩こりが発生
- 疲労時・空腹時に悪化
🔹 症状
- 肩がだるく痛む、倦怠感、食欲不振、めまい
- 舌淡、苔薄白、脈細弱
腎精不足による肩こり
🔹 病理
- 加齢や過労による腎精不足で筋骨が衰弱し、肩こりを発症
- 夕方以降に悪化、慢性的に続く
🔹 症状
- 慢性的な肩こり、腰膝がだるい、足が冷える、耳鳴り
- 舌淡、苔薄白、脈沈細
痰湿凝滞による肩こり
🔹 病理
脾虚(ひきょ)による水湿の停滞
- 脾の運化機能(消化・水分代謝)が低下すると、体内の水分が適切に処理されず「湿」が発生。
- 長期間続くと、「湿」が凝集して「痰」となり、さらに停滞することで「痰湿凝滞」を形成。
🔹 症状
- 慢性的な肩こり
- 曇りや雨の日に悪化
- 喜暖・悪冷
✔ 問診のポイント
☑ 問診で以下を確認し、適切な処方を選ぶことが重要!
- いつから?(急性か慢性か)
- どんな時に悪化・軽減する?(寒いと悪化?ストレスで悪化?)
- どんな痛み?(刺すような痛み・重だるい・張る感じ)
- 他の症状は?(冷え・めまい・耳鳴り・生理不順)
肩こりは、気滞・血瘀・風寒・痰湿・気血不足・腎虚などの異常によって生じます。
ご相談お待ちしています。
コメント