頭痛の中医的な具体的な改善処方の導き方
問診方法:五臓 五志 六淫 七情 陰虚 陽虚 痰飲 瘀血
頭痛の中医学的改善処方を行うためには、症状の原因や背景を特定し
五臓(肝・心・脾・肺・腎)の状態や
五志(感情)、六淫(外的環境要因)、七情(精神的要因)、
陰陽のバランス(陰虚・陽虚)、痰飲、瘀血から丁寧に問診をする必要があります。
頭痛には様々な原因があります。
原因に合わせた対処をすることが大切です。
五臓の観点からの問診
(1) 肝(肝陽上亢・肝火上炎・肝血虚)
肝は気血の流れを主る、情緒と密接に関係
問診ポイント
頭痛の性質: 頭痛がズキズキ(肝火上炎)か、ふわふわする感じ(肝血虚)。
部位: 側頭部の痛みが中心か。
情緒: イライラ、怒り、ストレスで頭痛が悪化するか。
随伴症状: 目の充血、めまい、ふらつき、耳鳴り。
睡眠: 寝付きが悪い、夢を多く見る。
その他: 口の苦味、喉の乾燥感。
考えられる病証
肝陽上亢: 側頭部のズキズキした頭痛、のぼせ、イライラ。
肝火上炎: 頭痛が強く、目の充血や怒りが関係。
肝血虚: 頭痛が軽度で、疲労やめまいを伴う。
(2) 心(心火亢盛・心血虚)
心は精神活動や血液循環に関係
問診ポイント
頭痛の性質: 頭が重い、圧迫感があるか。
精神状態: 不安感、動悸、興奮状態があるか。
随伴症状: 不眠、多夢、顔色の赤みまたは青白さ。
情緒: 過剰な喜びや緊張で頭痛が悪化するか。
考えられる病証
心火亢盛: 頭痛が急性で強く、動悸や不眠を伴う。
心血虚: 軽い頭痛、不安、精神的疲労を伴う。
(3) 脾(脾虚・痰湿)
脾は気血の生成と水分代謝を主る
問診ポイント
頭痛の性質: 頭が重く、しめつけられる感じか。
食欲・消化: 食欲不振、腹部膨満感、便秘または下痢。
随伴症状: 体のだるさ、痰が多い、めまい、吐き気。
天候との関連: 湿気の多い日や雨の日に悪化するか。
考えられる病証
脾虚: 慢性的な頭痛、疲れやすさ、消化器症状。
痰湿: 頭の重さ、湿気で悪化、痰が多い。
(4) 肺
肺は外邪(風寒・風熱)の影響を受けやすい。
問診ポイント
頭痛の発症: 風邪や寒気から始まったか。
頭痛の部位: 頭の前面や額に集中しているか。
その他症状: 鼻詰まり、咳、喉の不快感。
気候との関連: 寒い場所や風に当たると悪化するか。
考えられる病証
風寒: 急性の頭痛、冷えと関係。
風熱: 額の痛み、熱感、咳、喉の痛み。
(5) 腎(腎陰虚・腎陽虚)
腎は「髄を主る」、慢性的な頭痛と関係
問診ポイント
頭痛の性質: 後頭部の痛みが中心か。
随伴症状: 耳鳴り、めまい、疲労感、腰痛、膝の力の低下。
尿の状態: 頻尿、夜間尿、尿量の増加または減少。
冷えやほてり: 手足の冷え(陽虚)またはほてり(陰虚)。
考えられる病証
腎陰虚: 頭痛が午後や夜に悪化、耳鳴り、のぼせ。
腎陽虚: 頭痛が朝に悪化、冷え、倦怠感。
五志(喜・怒・憂・思・恐)からの問診
喜(心): 過剰な喜びや興奮で頭痛が誘発されるか。
怒(肝): 怒りやストレスが頭痛を悪化させるか。
憂・思(脾・肺): 心配事や考えすぎで頭痛が持続するか。
恐(腎): 恐怖や不安が慢性頭痛に影響しているか。
六淫(外的環境要因)からの問診
風邪: 頭痛が風や寒気に当たった後に始まったか。
寒邪: 寒い環境で頭痛が悪化するか。
湿邪: 雨の日や湿気で頭痛が重くなるか。
熱邪: 発熱やのぼせと共に頭痛が強くなるか
七情(精神・感情的要因)からの問診
ストレス、怒り、不安、悲しみ、恐れなどの感情が頭痛にどの程度影響を与えているかを確認:五志と関連して問診する
陰虚・陽虚からの問診
陰虚: 頭痛が夜間や午後に悪化するか、のぼせ、寝汗、口渇があるか。
陽虚: 頭痛が朝や冷えた場所で悪化するか、寒がり、疲労感があるか。
痰飲からの問診
痰湿による頭痛:
頭が重い、めまいを伴うか。
痰が多い、胸が詰まる感じがあるか。
雨の日に症状が悪化するか。
瘀血からの問診
頭痛が刺すような痛みで固定しているか。
痛みが夜間に強くなるか。
既往歴: 頭部の外傷や慢性的な血行不良の有無。
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