肝の「陰液(血・津液)」が不足し、肝の機能(蔵血・疏泄)が低下する病証です。
目次
1. 肝陰虚とは?
陰液が不足すると、肝の滋養作用が弱まり、筋・目・爪・皮膚・精神状態に影響が出ます。
さらに、陰が不足すると陽が相対的に強くなり、虚熱(ほてり・のぼせ)を生じるのが特徴です。
☑ 「肝は血を蔵す」 → 血が不足し、筋・目・爪・皮膚の機能が低下
☑ 「肝は筋を主る」 → 滋養不足により筋肉のこわばり・しびれ・けいれん
☑ 「肝は目に開竅する」 → 目の乾燥・疲れやすさ・視力低下
☑ 「肝火は上炎しやすい」 → 陰虚が進むと、のぼせ・ほてり・イライラ・不眠が発生
2. 肝陰虚の病因(発生要因)
病因の分類 | 具体的な病因 | 病理的影響 |
過労・睡眠不足 | 長時間労働・夜更かし | 肝血・肝陰の消耗が進む |
慢性疾患・加齢 | 慢性的な病気・老化 | 肝陰が徐々に枯渇し、虚熱が発生 |
ストレス・怒り(七情) | 精神的な緊張・イライラ | 肝気が過剰になり、肝陰を消耗 |
過度の運動 | 長時間の激しい運動 | 肝陰の消耗が加速 |
乾燥した環境・熱邪(六淫) | 暑さ・乾燥した気候 | 津液・陰液の損傷 |
飲食の不摂生 | 辛い物・アルコール・油っこい食事 | 内熱が生じ、肝陰を消耗 |
3. 肝陰虚の病理
🩸 肝の陰液(血・津液)が不足し、滋養作用が低下
1.陰が不足すると陽が相対的に強くなる(相対的な陽亢)
- 虚熱(ほてり・のぼせ・微熱・寝汗)が発生
2.肝が筋を養えない
- 筋のけいれん・しびれ・つりやすさ
3.肝が目を養えない
- 目の乾燥・かすみ・疲れやすさ
4.精神が不安定になる
- 不眠・多夢・焦燥感・怒りっぽい
4. 肝陰虚の主な症状
影響を受ける部分 | 具体的な症状 |
肝の陰不足 | 皮膚や筋肉の乾燥、目のかすみ、視力低下 |
虚熱(陰虚火旺) | のぼせ、ほてり、寝汗、微熱、口渇 |
筋の栄養不足 | けいれん、しびれ、足がつりやすい |
精神症状 | 不眠、多夢、焦燥感、怒りっぽい |
舌診 | 舌が赤い、苔が少ない、乾燥している |
5. 肝陰虚の悪化条件
悪化要因 | 影響 |
夜更かし・睡眠不足 | 陰が回復できず、さらに消耗する |
ストレス・イライラ | 肝気がさらに亢進し、陰を損耗する |
辛い食べ物・アルコール | 内熱を助長し、陰を損なう |
長時間の激しい運動 | 肝血・肝陰の消耗が加速 |
6. 肝陰虚の問診ポイント
- 目の乾燥や視力低下はあるか?
- 夜間にほてりや寝汗があるか?
- イライラしやすいか?
- 筋肉のけいれんや足のつりが多いか?
- 舌が赤く、乾燥していないか?
★まとめ
- 肝陰虚は「肝の陰液が不足することで、筋・目・精神に影響を及ぼす病証」。
- 主な原因は「過労・睡眠不足・ストレス・加齢・過度の運動・飲食の不摂生」。
- 症状は「目の乾燥・視力低下・筋のけいれん・のぼせ・寝汗・イライラ・不眠」。
- 治療は「滋陰養肝」が基本で、適切な生薬を用いる。
- 生活習慣の改善が重要で、夜更かしを避け、ストレス管理・適度な休養を心がける!
🌿 「肝を養い、心身のバランスを取り戻そう!」
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