胃陰虚とは、胃の陰液(津液)が不足し、胃粘膜が乾燥し、消化機能が低下する病態です。
胃の陰液は、消化活動を円滑にする役割を果たしますが、それが不足すると胃の粘膜が乾燥し、
食欲不振、口渇、胃の不快感、便秘などの症状が現れます。
目次
胃陰虚の病因(発生要因)
1.長期の慢性病
- 胃の陰液が消耗しやすい
2.過度の飲酒や辛い食べ物の摂取
- 胃の津液を損傷し、炎症を引き起こす
3.過度の思慮やストレス
- 胃の機能低下につながり、陰液が消耗
4.加齢や体質的要因
- 陰液が自然に減少し、胃陰虚になりやすい
5.発熱性疾患の後遺症
- 高熱が続くと陰液が消耗し、胃陰虚に発展
6.長期の胃薬(制酸剤など)の使用
- 胃酸の減少が陰液不足につながる
胃陰虚の病理メカニズム
1.陰液の不足
- 胃の潤いが減少し、乾燥症状が現れる
2.胃粘膜の栄養不足
- 胃の保護機能が低下し、胃痛や不快感が生じる
3.胃の蠕動運動の低下
- 消化機能が悪化し、胃もたれや便秘が発生
4.胃熱の発生
- 胃の津液不足により、虚熱(ほてりや口渇)が現れる
胃陰虚の影響を受ける臓腑と症状
胃(消化機能の低下)
- 空腹感はあるが、すぐに満腹になり食べられない
肺(陰虚の連動)
- 乾燥による空咳や喉の渇きが出ることがある
腸(蠕動運動の低下)
- 乾燥による便秘が生じることが多い
胃陰虚の主な症状
- 胃の不快感(空腹感があるが、食べると胃が重くなる)
- 食欲不振(食べてもすぐに満腹感を感じる)
- 口渇・咽喉乾燥(冷たい飲み物を好む)
- 舌の乾燥(舌が赤く、苔が少ない)
- 便秘(乾燥便、兎糞状の便)
- ほてり・微熱感(特に午後に出やすい)
- 不眠(陰虚による虚熱が原因)
- 胃痛(食後に違和感、温めても改善しない)
- 脈が細くて数(速い)
胃陰虚の悪化条件
- 辛い食べ物・アルコールの摂取 → 陰液を消耗し、症状が悪化。
- 長時間の空腹 → 胃粘膜が刺激を受け、胃痛や不快感が増す。
- ストレスや過労 → 胃の陰液の回復が追いつかず、症状が悪化。
- 発熱性疾患の後 → 風邪や熱が長引くと、陰液が消耗しやすい。
- 過度の温める食養生(温熱性の漢方薬の誤用) → 胃陰虚には適さない。
胃寒の特徴
1.食欲の状態
「空腹感はあるが、すぐに満腹になりますか?」
2.口渇の有無
「喉が乾きやすく、冷たいものを欲しますか?」
3.排便の状態
「便が硬く、コロコロしていませんか?」
4.舌の状態
「舌の苔が少なく、乾燥していませんか?」
5.ほてりの有無
「午後や夕方に体がほてることはありますか?」
★まとめ
胃陰虚は、胃の津液不足によって消化機能が低下し、口渇、胃の不快感、便秘などの症状を引き起こします。
治療では、胃の陰液を補うことが重要です。
食養生としては、温和な水分補給(白湯・麦茶)、潤いのある食材(梨、蜂蜜、山芋、豆乳)を摂取し、
辛いものやアルコールの過剰摂取を避けることが推奨されます。
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