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皮膚病と「脾主肌肉」の関係

中医学:「脾主肌肉(ひしゅきにく)」という概念

脾は消化吸収を司り、気血を生み出し、皮膚や筋肉の健康を維持する役割を担っています。皮膚病において「脾」の機能低下が関与する場合、以下のような特徴が見られます。

目次

1. 脾虚型皮膚病(脾の機能低下による皮膚疾患)

病理

  • 脾が弱ると、飲食物から気血を十分に作れず、肌に栄養が届かない
  • 湿邪を処理できず、皮膚に湿疹や腫れが出る

主な症状

  • 皮膚がたるみ、色がくすむ
  • ジュクジュクした皮膚炎、むくみ
  • 食欲不振、倦怠感、軟便

悪化条件

  • 冷たい食べ物、甘い物で悪化
  • 胃腸の調子が悪くなると皮膚炎が悪化

問診のポイント

  • 消化不良の有無(食欲・便の状態)
  • 皮膚の乾燥・湿潤の状態

2. 脾湿型皮膚病(湿邪による皮膚疾患)

病理

  • 脾の機能が低下すると、水分代謝が悪くなり、湿邪が体内に溜まる
  • 湿邪が皮膚に現れると、ジュクジュクした皮膚病や浮腫が生じる

主な症状

  • 皮膚が湿っぽく、赤くただれる
  • 粘液性の滲出液が出る
  • 腫れ、むくみ、消化不良

悪化条件

  • 梅雨時や湿気の多い環境で悪化
  • 甘いもの、冷たいものの摂取

問診のポイント

  • 皮膚のジュクジュク感の有無
  • 水分代謝(むくみや軟便)

3. 脾陽虚型皮膚病(脾の陽気不足による皮膚病)

病理

  • 脾の陽気が不足すると、寒湿が体に溜まり、血流が滞る
  • 皮膚の新陳代謝が低下し、色素沈着や乾燥が起こる

主な症状

  • 皮膚が青白く、冷たく、弾力がない
  • 乾燥肌、アトピー性皮膚炎の悪化
  • 胃腸が弱く、冷えやすい

悪化条件

  • 冷え(特に下半身が冷たい)
  • 冷たい食べ物、飲み物で悪化

問診のポイント

  • 皮膚の色、乾燥度合い
  • 冷えの有無

4. 瘀血型皮膚病(脾の血行不良による皮膚病

病理

  • 脾が弱ると、血流が悪くなり、瘀血(血の滞り)が生じる
  • 皮膚のターンオーバーが乱れ、黒ずみ、シミ、慢性湿疹が現れる

主な症状

  • 皮膚が黒ずみ、硬くなる
  • 皮膚にしこりや色素沈着がある
  • 舌が紫色、舌下静脈が怒張

悪化条件

  • ストレスや運動不足
  • 冷え、血行不良

問診のポイント

  • 皮膚の色(黒ずみ・シミ)
  • しこりの有無

脾主肌肉と皮膚病の関連

主な原因
脾虚型気血不足による肌のたるみ・くすみ
脾湿型水分代謝の異常によるジュクジュク湿疹
脾陽虚型脾の陽気不足による乾燥・冷え
瘀血型血行不良による色素沈着・慢性湿疹

中医学における皮膚病の分類

皮膚病は中医学

「肺主皮毛」「脾主肌肉」「肝蔵血」の理論に基づき

主に気血の流れの異常、風・湿・熱・燥・寒の影響、内臓の機能低下によって発生


① 風熱型(風邪+熱邪による皮膚炎)

病理

  • 外邪(風熱)が皮膚に侵入し、皮膚に炎症が起こる
  • 肺の機能低下により、邪気が皮毛に影響

主な症状

  • 赤みが強い、丘疹、水疱、かゆみが激しい
  • 熱感があり、掻くと症状が悪化
  • 風邪の影響を受けやすい:肺気虚
  • 舌は紅、苔は薄黄、脈は浮数(表熱)

悪化条件

  • 暑さや熱い飲食物で悪化
  • 風が強い環境で悪化

問診のポイント

  • かゆみの強さ・悪化要因
  • 発疹の色や熱感の有無

② 湿熱型(湿邪+熱邪による皮膚炎)

病理

  • 湿邪と熱邪が皮膚に停滞し、ジュクジュクした炎症を引き起こす

主な症状

  • 皮膚の腫れ、水疱、黄色い滲出液
  • 強いかゆみ、熱感、悪臭
  • 舌は紅、苔は黄膩、脈は滑数(湿熱)

悪化条件

  • 高温多湿の環境で悪化
  • 脂っこい食事で悪化

問診のポイント

  • 皮膚のジュクジュク感の有無
  • 悪臭の有無

③ 血熱型(血熱による皮膚炎)

病理

  • 体内の血が熱を持ち、皮膚に炎症を引き起こす

主な症状

  • 皮膚が赤く、発疹が多い
  • のぼせ、ほてり、イライラしやすい
  • 舌は紅、脈は数(熱)

悪化条件

  • 精神的なストレス(七情:怒り)
  • 刺激物の摂取(辛いもの、酒)

問診のポイント

  • のぼせやイライラの有無
  • 発疹の色の変化

④ 血虚風燥型(血虚による乾燥性皮膚炎)

病理

  • 血が不足し、皮膚に栄養が行き渡らない

主な症状

  • 皮膚の乾燥、粉を吹くような状態
  • かゆみがあるが、掻くとひどくなる
  • 舌は淡、苔は少、脈は細(血虚)

悪化条件

  • 冬の乾燥で悪化
  • 夜更かしや疲労で悪化

問診のポイント

  • 皮膚の乾燥度合い
  • 夜のかゆみの有無

⑤ 瘀血型(血行不良による皮膚疾患)

病理

  • 血の巡りが悪く、皮膚に栄養が届かない

主な症状

  • 暗赤色の皮疹、皮膚がざらざらしている
  • 痛みや腫れがあることも
  • 舌は紫暗、舌下静脈が怒張、脈は渋

悪化条件

  • 冷えやストレスで悪化
  • 運動不足で悪化

問診のポイント

  • 皮膚の色の変化(暗い、紫)
  • 皮膚の硬さやざらつき

まとめ

主な原因
風熱型風邪・熱邪
湿熱型湿邪・熱邪
血熱型血の熱
血虚風燥型血虚・乾燥
瘀血型血行不良
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この記事を書いた人

埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。

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