お客様の全身状態を総合的に評価することが重要
五臓(肝・心・脾・肺・腎)の状態
五志(感情の影響)、六淫(外的環境要因)な
七情(精神・感情的要因)を中心に問診を行い、病因・病機を特定
目次
1. 五臓(肝・心・脾・肺・腎)の観点からの問診
(1) 腎
腎は「耳を主る」、難聴の主因になることが多い。
問診ポイント
- 難聴の経過: 突発性か慢性か。
- 腎陰虚: 耳鳴りが高音・虚熱上昇、のぼせ、ほてり、寝汗、口渇があるか。
- 腎陽虚: 耳鳴りが低音・虚寒下降、冷え、倦怠感、朝に症状が悪化するか。
- 排尿の状態: 頻尿、夜間尿、尿量の変化があるか。
- 骨の状態: 腰痛、膝の力の低下、疲れやすさ。
- 性機能: 性欲減退や不妊傾向。
(2) 肝
肝は「気の疏泄を主る」、感情やストレス、血の循環に関与
問診ポイント
- 肝鬱: 難聴や耳鳴りがストレスや緊張で悪化するか。
- 肝火上炎: 怒りやイライラが強く、難聴や耳鳴りが急激に悪化するか。
- 血の状態: めまいやふらつき、目のかすみ、疲労感があるか。
- その他症状: 頭痛、目の充血、爪の状態。
(3) 心
心は精神活動や血液循環に関与
問診ポイント
- 心火亢盛: 耳鳴りが急激で、動悸、不眠、顔の赤みを伴うか。
- 心血虚: 耳鳴りが軽度で、不安感、夢を多く見る、動悸を感じるか。
- 精神状態: 緊張、不安、興奮などが耳の症状に影響するか。
(4) 脾
脾は気血の生成と水分代謝に関与
問診ポイント
- 脾虚: 難聴や耳鳴りが疲労や消化不良と関連しているか。
- 痰湿: 耳が詰まった感じ、頭が重い、めまい、吐き気があるか。
- 食欲・消化: 食欲不振、腹部膨満感、軟便があるか。
(5) 肺
肺は気の循環と関係があり、外邪(風邪・寒邪)の影響を受けやすい。
問診ポイント
- 難聴が風邪や寒冷の影響を受けて悪化するか。
- 咳、喉の不快感、鼻詰まりなどがあるか。
- 肺気虚による倦怠感、皮膚の乾燥。
2. 五志(喜・怒・憂・思・恐)の観点からの問診
- 喜(心): 過剰な喜びや興奮が耳鳴りや難聴を悪化させるか。
- 怒(肝): ストレスや怒りで耳鳴りや難聴が強くなるか。
- 憂・思(脾・肺): 心配や過剰な考え事で症状が悪化するか。
- 恐(腎): 不安や恐れで耳の症状が変化するか。
3. 六淫(外的環境要因)の観点からの問診
- 風邪: 難聴や耳鳴りが急性か、頭部の風寒の影響で悪化するか。
- 寒邪: 寒い環境で症状が悪化するか。
- 湿邪: 難聴や耳鳴りが雨天や湿気で悪化するか。
- 暑邪・熱邪: 熱中症や高温で症状が誘発されるか。
- 燥邪: 耳の乾燥感や粘膜の乾燥があるか。
4. 七情(感情・精神的要因)の観点からの問診
- 長期間のストレス、心配、怒り、不安が耳の症状にどう影響しているか。
- 感情の波が耳鳴りや難聴の発症や悪化と関連しているか。
5. 難聴の発症状況に関する問診
症状の進行
- 突発性か、徐々に進行しているか。
- 左右対称か片側性か。
耳鳴りの音質
- 高音性:(腎陰虚・虚熱や肝火上炎・実熱) 上昇は高音
- 低音性:(腎陽虚・虚寒や痰湿:湿重い下降)下降は低音
環境要因
- 気候、時間帯、ストレス、運動、食事などの影響。
随伴症状
- めまい、吐き気、頭痛、体のだるさ。
6. 最後に補足問診
- 全身症状: 冷え、ほてり、疲れやすさ、のぼせ。
- 生活習慣: 食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒。
- 既往歴: 慢性疾患(高血圧、糖尿病など)が耳に影響している可能性。
- 服用薬: 西洋薬や漢方薬、サプリメントの使用状況。
まとめ*中医学的診断
腎陰虚型
- 主な症状: 高音の耳鳴り、のぼせ、寝汗
腎陽虚型
- 主な症状: 冷え、疲れやすさ、低音の耳鳴り
肝鬱型
- 主な症状: イライラ、ストレス関連の耳鳴り
痰湿型
- 主な症状: 耳閉感、めまい、頭重感
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