中医学における骨粗鬆症の基本概念:骨は腎に属し、「腎主骨」
骨粗鬆症は主に腎虚(腎精不足)、気血不足、瘀血、痰湿が関与する慢性疾患
高齢者では「腎精の衰え」が根本原因
治療の基本方針↓
- 腎精を補い、骨を強化(補腎健骨)
- 気血を補い、新陳代謝を促進(補気養血)
- 血流を改善し、骨への栄養供給を改善(活血化瘀)
- 湿痰を除去し、骨代謝を促進(化痰除湿)
目次
腎虚型(最も多い)
🔹病理
- 加齢や腎精不足により、骨の密度が低下し、脆弱化
- 骨髄の衰えとともに、腰・膝のだるさや耳鳴りが出現
🔹主な症状
- 腰や膝のだるさ・痛み(特に動作開始時)
- 歯がもろくなる、髪が抜ける
- めまい・耳鳴り
- 夜間尿が多い
- 健忘・集中力低下
- 舌:淡または紅・苔少
- 脈:沈細(腎精不足)
🔹悪化条件
- 過労・夜更かし → 腎精の消耗
- 寒冷(冬季や冷たい食べ物) → 腎陽虚が悪化し、骨痛が増す
🔹問診のポイント
- 腰や膝の状態(だるさ・痛み・冷えの有無)
- 夜間尿の頻度・歯の状態
- 既往歴(腎虚の症状があるか)
気血両虚型(脾胃虚弱型)
🔹病理
- 脾胃が弱いため、気血が不足し、骨の栄養供給が不足
- 骨の代謝が遅れ、骨形成が進まない
🔹主な症状
- 疲れやすい・無力感
- 顔色が蒼白・めまい・ふらつき
- 食欲不振・消化不良
- 骨折しやすい(回復が遅い)
- 舌:淡・苔薄白
- 脈:細弱
🔹悪化条件
- 食欲不振・過労 → 気血の不足が進行
- 寒冷(冷たい飲食) → 脾の機能が低下
🔹問診のポイント
- 疲れやすさ・食欲の有無
- 骨折歴の有無・回復速度
- 全身の冷え・胃腸の不調
瘀血阻滞型
🔹病理
- 血流が滞ることで、骨に栄養が届かず、骨密度が低下
- **慢性的な瘀血(血行不良)**が原因
🔹主な症状
- 関節の痛み・こわばり(特に朝)
- 骨折後の治癒が遅い
- 皮膚が暗く、紫斑ができやすい
- 慢性的な冷え・四肢のしびれ
- 舌:紫暗色・瘀点あり
- 脈:渋脈
🔹悪化条件
- 寒冷(冷えが血流を悪化)
- 長時間の不動(血行不良)
🔹問診のポイント
- 関節痛の有無・悪化条件
- 皮膚の色や血行不良の兆候
- 過去の骨折や治癒速度
痰湿型(骨代謝低下型)
🔹病理
- 湿痰が体内に停滞し、骨の代謝を妨げる
- 肥満・消化不良・水分代謝異常が原因
🔹主な症状
- 関節の腫れ・浮腫み
- 体が重だるい・疲れやすい
- 皮膚がべたつく・口が粘る
- 舌:胖大・白膩苔
- 脈:滑脈
🔹悪化条件
- 湿気が多い(梅雨時・雨天)
- 脂っこい食事・冷たい飲食
🔹問診のポイント
- 関節の腫れ・浮腫みの有無
- 食習慣(水分摂取量・脂っこい食べ物の好み)
まとめ
タイプ | 主要症状 |
腎虚型 | 腰膝のだるさ・耳鳴り |
気血両虚型 | 倦怠感・食欲不振 |
瘀血型 | 関節の痛み・皮膚の暗さ |
痰湿型 | 浮腫み・重だるさ |
症状や体質に応じて適切な漢方薬を選ぶことが重要ですので、
専門家に相談されることをおすすめします。
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