中医学では骨折:骨傷
気血の停滞・瘀血の形成・腎虚による骨の脆弱化が関与
治療は急性期(受傷直後)・回復期(骨癒合促進)・後遺症期(機能回復)に分け
各期で処方を変える必要があります。
目次
急性期(瘀血阻滞型)
🔹病理
- 骨折による外力が「気血の運行」を阻害し、**瘀血(血の滞り)**が生じる
- 局所の炎症反応が強く、腫れ・痛み・内出血を伴う
🔹主な症状
- 骨折部の腫れ・皮下出血
- 刺すような痛み(固定時も持続)
- 振動痛(軽く叩くと強く痛む)
- 熱感を伴うこともある
- 舌:暗紅色・瘀点あり
- 脈:渋脈(血流停滞)
🔹悪化条件
- 冷え(寒邪)→ 気血の流れを阻害し痛みが増す
- 動作や圧迫 → 局所の血行悪化
🔹問診のポイント
- 受傷時の状況(転倒・打撲・圧迫など)
- 腫れや痛みの程度(夜間に増すか、温めると楽になるか)
- 内出血の範囲
回復期(気血両虚型)
🔹病理
- 骨折後、気血が消耗し、骨の修復が遅れる
- 特に**脾胃虚弱(消化不良)**があると栄養が届かず、骨の再生が進まない
🔹主な症状
- 倦怠感・疲れやすい
- 骨折部の治癒が遅い(腫れは減るが痛みが長引く)
- 筋力の低下
- 皮膚が乾燥しやすい
- 舌:淡・苔薄白
- 脈:細弱
🔹悪化条件
- 過労・食欲不振 → 気血の生成が低下
- 寒冷(冷飲・冷風) → 血行が悪くなり、回復遅延
🔹問診のポイント
- 回復の進み具合(痛みの程度・腫れの引き方)
- 全身の疲れ具合・食欲の有無
- 他の虚弱症状(貧血・めまい・不眠)
後遺症期(腎虚型)
🔹病理
- 中医学では**「腎主骨」**とされ、腎虚があると骨の脆弱化や修復遅延を招く
- 特に高齢者の骨折は腎精不足が根本原因
🔹主な症状
- 骨折部位の痛みが続く(天気が悪いと悪化)
- 腰膝がだるい・冷えやすい
- 夜間尿が多い・歯がもろい
- 耳鳴り・健忘・めまい
- 舌:淡・胖・苔薄白
- 脈:沈細
🔹悪化条件
- 夜更かし・老化 → 腎精の消耗
- 冷え(冬季や冷房) → 骨痛の悪化
🔹問診のポイント
- 骨折の治癒状況(骨がもろいか)
- 腰膝の違和感・夜間尿の有無
- 既往歴(骨粗鬆症・腎虚の兆候)
まとめ
タイプ | 主要症状 |
瘀血阻滞型(急性期) | 腫れ・皮下出血・鋭い痛み |
気血両虚型(回復期) | 疲れやすい・回復遅い |
腎虚型(後遺症期) | 持続する痛み・腰膝のだるさ |
最適な問診方法
(五臓・五志・六淫・七情・陰陽虚実・痰飲・瘀血)
- 五臓:腎(骨主)、肝(筋主)、脾(気血生成)
- 五志:驚・恐が強いと腎虚が悪化
- 六淫:寒冷で瘀血が悪化、湿邪が骨折後の回復を遅らせる
- 七情:ストレスで瘀血・気滞が起こる
- 陰陽虚実:腎陽虚(冷え)、腎陰虚(骨痛)を重視
- 痰飲:水湿停滞があると骨の再生遅延
- 瘀血:急性期の主要因、血流が悪いと治癒遅延
適切な問診で病因を特定し、最適な処方を選びます!
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