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 漢方薬局 月火水金土
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夜尿症に抑肝散と半夏陳皮を用いる根拠

夜尿症の中医学的分類

夜尿症(遺尿)は、中医学では主に以下のパターンに分類

  1. 腎気不足(腎陽虚) → 温補腎陽(腎を温める)
  2. 脾肺気虚 → 補気健脾(脾を補う)
  3. 肝気旺盛(肝火犯脾・肝脾不和) → 疏肝理気(肝の気を整える)
  4. 痰湿内阻 → 化痰利湿(痰湿を取り除く)

「肝気旺盛(肝火犯脾・肝脾不和)」と「痰湿内阻」に対して、抑肝散+半夏陳皮

目次

抑肝散の作用と夜尿症への適用

① 抑肝散の構成生薬

  • 釣藤鈎(ちょうとうこう) … 鎮静、抗痙攣、肝気の抑制
  • 当帰(とうき) … 補血、血流促進
  • 川芎(せんきゅう) … 活血、血行促進
  • 白朮(びゃくじゅつ) … 健脾、利水
  • 茯苓(ぶくりょう) … 健脾、利水、鎮静
  • 甘草(かんぞう) … 緩和、調和

② 抑肝散の主な作用

  • 肝の過剰な興奮を抑える(平肝熄風)
  • 脾胃の機能を補う(健脾安神)
  • 神経の興奮を鎮める(鎮静作用)

 夜尿症と抑肝散の関連

  • 子供の場合は、肝の疏泄:流れが過剰になり、脾胃を傷つけることで起こる
  • 神経過敏、ストレス、怒りっぽい、イライラする子供の夜尿症は「肝火旺盛」
  • 抑肝散は「肝気を整え、神経の興奮を抑える」ため、夜尿症改善に有効。

半夏陳皮(理気+化痰)の作用

① 半夏と陳皮の働き

  • 半夏(はんげ) … 痰湿を除去し、気の流れを改善
  • 陳皮(ちんぴ) … 脾胃を調え、気の巡りを良くする

② 夜尿症と半夏陳皮の関係

  • 脾胃が弱く、痰湿が溜まりやすいタイプの夜尿症に適応
  • 子供の夜尿症は「脾虚」によるものが多く、痰湿が関与するケースも多い
  • 半夏陳皮を加えることで、脾胃を強化し、水分代謝を改善する

抑肝散+半夏陳皮の組み合わせの意義

  • 抑肝散 … 肝気を整え、神経の興奮を鎮める
  • 半夏陳皮 … 胃腸の機能を助け、痰湿を除く

肝気が高ぶりやすく、ストレスや神経過敏による夜尿症に最適


まとめ

  • 抑肝散は、夜尿症のうち「肝火旺盛タイプ(ストレス、神経過敏)」に有効
  • 半夏陳皮を加えることで「脾胃を強化し、痰湿を除去」し、効果を高める
  • ストレス+脾虚が関与する夜尿症に、抑肝散+半夏陳皮

問診のポイント

1幼稚園に行き始めたら夜尿症

2小学校へ行き始めたら夜尿症

3下の子供が出来たら夜尿症 等々確認

夜尿症以外にも「興奮しやすい子供の夜泣き、イライラしやすい子供の体質改善」にも応用


夜尿症の中医学的分類と治療

夜尿症は、中医学では主に腎・脾・肺・心の機能低下、の疏泄過剰(上記・抑肝散)

気血の失調によって起こる

問診:五臓のバランス、六淫・七情などの影響も考慮


1. 腎陽虚型(腎の陽気不足による夜尿)

病理

腎は膀胱の開閉を司るが、腎陽が不足すると膀胱の機能が低下し、尿を十分にコントロールできなくなる。

主な症状

  • 夜尿が多い、尿が薄い
  • 冷え性、四肢が冷たい
  • 朝起きるのが苦手、顔色が青白い
  • 足腰のだるさ、疲れやすい

悪化条件

  • 冷たいものを食べると悪化
  • 冷えや寒い環境で悪化

問診のポイント

  • 体の冷え、特に足腰の冷えがあるか
  • 尿の色、頻度

脾肺気虚型(脾と肺の気不足による夜尿)

病理

脾は水分代謝を司り、肺は気を全身に巡らせる。 脾気・肺気が不足すると、膀胱の気も弱まり、尿を保持する力が低下する。

主な症状

  • 夜尿の頻度が高く、尿の量が多い
  • 食欲不振、軟便、胃もたれ
  • 風邪をひきやすい、体力が低い
  • 顔色が白く、元気がない

悪化条件

  • 疲れやすいと悪化
  • 風邪をひくと夜尿が増える

問診のポイント

  • 食欲、消化機能の状態
  • 風邪をひきやすいか

心腎不交型(心と腎のバランス失調による夜尿)

病理

中医学では「心腎相交(心と腎のバランス)」が重要とされる。心火が強すぎると腎水を消耗し、膀胱のコントロールが乱れる。

主な症状

  • 夢をよく見る、不眠気味
  • 夜尿が突然起こる、尿の量が多い
  • 動悸、不安感、集中力の低下
  • 口の渇き、のぼせ

悪化条件

  • ストレスが多いと悪化
  • 睡眠不足で悪化

問診のポイント

  • 夢をよく見るか、不眠の有無
  • 動悸や不安感があるか

肝鬱気滞型(ストレスによる夜尿)

病理

ストレスや情緒の乱れが肝の気を停滞させ、膀胱の収縮調整が乱れる。

主な症状

  • ストレスが多いと夜尿が増える
  • 怒りっぽい、イライラしやすい
  • ため息をよくつく、胸がつかえる感じ
  • 女性は月経前に悪化することが多い

悪化条件

  • 精神的なストレス、緊張
  • 怒りや不安が続く

問診のポイント

  • 最近ストレスが多いか
  • イライラしやすいか

夜尿症の中医学的分類

主な原因
腎陽虚型腎の陽気不足で膀胱の機能低下
脾肺気虚型脾肺の気不足で尿を保持できない
心腎不交型心腎のバランス失調で尿が増える
肝鬱気滞型ストレスや緊張で膀胱が過剰に収縮

問診で体質を見極め、適切な漢方を選ぶことで

膀胱のコントロールを改善し、症状を軽減

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この記事を書いた人

埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。

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