目次
1. 肝の基本的な生理機能
中医学における「肝」は、以下の主な機能を持っています。
- 疏泄(そせつ)作用:気や血、津液の流れをスムーズに調節する。
- 蔵血(ぞうけつ)作用:血液を貯蔵し、必要に応じて全身に供給する。
- 情志(感情)調節:ストレスや情緒の安定に関与する。
2. 肝気鬱血の病理機序
「肝気鬱血」とは 肝の疏泄作用が低下し、気の流れが滞る状態 を指します。
主な原因
- 七情(感情)失調:特に怒り、抑圧されたストレス、精神的な緊張
- 外邪(六淫)による影響:寒湿の邪気が長期にわたり影響を与える
- 飲食不節:過度な飲酒・辛い食事・脂っこい食べ物
- 過労・睡眠不足:肝血不足により気の巡りが悪化
3. 肝気鬱血の症状
精神・情緒症状
- 抑うつ感、不安感、イライラ、情緒不安定
- ため息が多い
- ヒステリー症状、怒りっぽい
身体症状
- 脇や腹部の張り感・痛み(特にストレスで悪化)
- 月経不順(月経前の乳房の張り・痛み、月経痛)
- 頭痛(ストレスで悪化)
- 食欲不振・胃の不快感(脾胃の運化が低下)
舌・脈の特徴
- 舌:淡紅、舌苔は薄白またはやや黄
- 脈:弦脈(緊張した脈)
4. 肝気鬱血の悪化条件
- 精神的ストレス(怒り・抑圧・悩み)
- 長時間のデスクワーク・過労(気の巡りが悪くなる)
- 冷え・寒さ(肝は寒邪により収縮し、気が停滞)
- 脂っこいもの・アルコール(肝の負担が増加)
5. 肝気鬱血の治療原則
① 疏肝理気(そかんりき):肝の気を巡らせ、気滞を解消する
② 調和肝脾(ちょうわかんぴ):肝の過剰な影響を抑え、脾胃を守る
③ 行気活血(こうきかっけつ):気の滞りを改善し、血の巡りを良くする
6.肝気鬱血がさらに進行すると…
肝火上炎(かんかじょうえん)
- 気滞が長期化すると「熱」が生じ、怒りっぽくなる。
肝脾不和(かんぴふわ)
- 肝気の停滞が脾を傷つけ、胃腸の不調を引き起こす。
肝鬱化火(かんうつかか)
- 肝気鬱血がさらに悪化し、熱症状(イライラ・不眠)が顕著に。
7.肝気鬱血の問診ポイント
- ストレスを感じやすいか?
- 怒りやすい、またはため息が多いか?
- 脇腹や胃が張る感じがあるか?
- 月経不順やPMSの症状はあるか?
- 気分が落ち込みやすいか?
★まとめ
病理 | 症状 |
肝気鬱血 | ストレス、ため息、脇腹の張り |
肝火上炎 | 怒りっぽい、頭痛、のぼせ |
肝脾不和 | 胃の不調、食欲低下 |
肝鬱化火 | 強いイライラ、不眠病理 症状 肝気鬱血 ストレス、ため息、脇腹の張り 肝火上炎 怒りっぽい、頭痛、のぼせ 肝脾不和 胃の不調、食欲低下 肝鬱化火 強いイライラ、不眠 |
肝気鬱血は ストレス社会で非常に多い病態 です。
症状に合わせた適切な漢方処方と、生活習慣の改善(運動・リラックス・食事) も重要です!
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