肝寒犯胃(かんかんはんい)の病理
目次
1. 肝寒犯胃とは?
☑ 外寒(寒邪)や内寒(陽虚)が肝経を侵し、胃の機能を乱す病態。
☑ 肝寒が胃に影響を与え、胃気が停滞して消化機能が低下。
☑ 主な症状:「胃痛、冷えによる痛みの増悪、悪心、嘔吐、腹部の冷え、四肢の冷え」
2. 肝寒犯胃の病因(発生要因)
病因の分類 | 具体的な病因 | 病理的影響 |
六淫(外因) | 外寒(寒邪の侵入) | 寒邪が肝経に侵入し、肝気の流れが阻害される |
陽虚(内因) | 体質的な陽虚、過労、冷たい飲食物の摂取 | 肝陽不足により肝気の運行が低下し、胃気の下降が阻害される |
飲食不節(飲食の影響) | 冷たい食事や飲み物の過剰摂取 | 胃陽を損傷し、気機が停滞する |
3. 肝寒犯胃の病理メカニズム
🌿 正常な肝・胃の働き
- 肝は疏泄を司り、気の流れや消化を調節。
- 胃は受納・腐熟を司り、食物を消化し、小腸へ送る。
- 通常、肝気はスムーズに流れ、胃は正常に消化を行う。
💥 肝寒犯胃が発生すると…
- 寒邪が肝経を侵し、肝気の流れが停滞。
- 肝の疏泄が障害されることで、胃の気機(下降作用)が乱れる。
- 胃の運化機能が低下し、胃気停滞による胃痛・悪心・嘔吐が発生。
- 寒邪による収縮作用で気血の巡りが悪くなり、痛みが増強する。
- 長期化すると脾胃陽虚を併発し、消化不良や倦怠感が現れる。
4. 肝寒犯胃の影響を受ける臓腑と症状
影響を受ける臓腑 | 病証名 | 主な症状 |
肝(疏泄異常) | 肝寒 | 胸脇部の冷えや張り、痛み |
胃(気機異常) | 胃寒 | 胃痛、悪心、嘔吐、腹部の冷え |
脾(運化機能低下) | 脾虚 | 食欲不振、倦怠感、下痢 |
5. 肝寒犯胃の主な症状
症状の種類 | 具体的な症状 |
胃痛 | 冷えると悪化し、温めると改善する |
嘔吐・悪心 | 食後に悪化し、温かい飲食で軽減 |
腹部の冷え | 冷えると痛みが増し、手足も冷たくなる |
消化不良 | 食欲不振、消化不良、胃の不快感 |
6. 肝寒犯胃の悪化条件
悪化要因 | 影響 |
寒冷環境 | 寒邪の影響で気血の巡りが悪化し、痛みが増強 |
冷たい飲食物 | 胃陽を損傷し、胃の機能低下を悪化させる |
ストレスや緊張 | 肝気がさらに滞り、胃の機能が乱れる |
7. 肝寒犯胃の問診ポイント
- 寒冷環境や冷たい飲食物で症状が悪化するか?
- 胃痛が温めると楽になるか?
- 嘔吐や悪心があるか?
- 腹部の冷えや手足の冷えがあるか?
- 食欲不振があるか?
★まとめ
- 「肝寒犯胃」とは、寒邪や陽虚によって肝が冷え、胃の気機が乱れる病態。
- 主な原因は「寒邪の侵入・冷たい飲食物・陽虚」。
この記事を書いた人
埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。
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