(陰虚風動 / 肝陰虚風動)
☑陰虚生風(いんきょせいふう)とは?
- 陰虚が極まり、その結果「肝風内動(かんぷうないどう)」を引き起こす病態 です。
- 「陰」は「陽」を抑える働きを持つため、陰虚が極まると陽が過剰に亢進し、内風が発生
- 慢性病や老化、長期のストレス、消耗性疾患などで起こりやすい。
- 手足の震え・ふらつき・しびれ・めまい・夜間の筋けいれん・不眠などが特徴。
☑ 脳梗塞・パーキンソン病・神経変性疾患などの一部も、この病態に関係します。
目次
1. 陰虚生風の病因(発生要因)
病因の分類 | 具体的な病因 | 病理的影響 |
五臓の虚損 | 肝腎陰虚・肝血虚・腎精不足 | 陰が不足し、陽の抑制が効かなくなり、風が発生 |
慢性病・老化 | 長期の慢性病・高齢 | 陰液(血・津液)の消耗が進み、風が発生 |
過労・睡眠不足 | 過度の労働・夜更かし | 陰血の消耗が加速し、肝風内動を助長 |
長期のストレス | 過度の思慮・怒り | 肝陰を損傷し、肝陽が抑えられなくなる |
飲食の不摂生 | 辛い食事・暴飲暴食 | 肝火を助長し、陰液をさらに損傷 |
2. 陰虚生風の病理
🌿 陰虚による肝風内動のメカニズム
1.陰虚が進行し、肝血が不足する
- 血が不足すると、筋肉や神経の滋養が足りなくなり、震えやしびれが出る
2.陰が足りないため、陽を抑えられなくなり、肝陽が過剰に亢進する
- 肝陽が昂ると、体の緊張・興奮・不眠・熱感が現れる
3.肝陽の過剰亢進がさらに進み、内風が発生する
- 手足の震え・めまい・ふらつき・しびれ・筋けいれん
4.陰液不足により、脳や神経の安定性が低下する
- 記憶力の低下・焦燥感・頭のふらつき・しびれ感
3. 陰虚生風の主な症状
影響を受ける部分 | 具体的な症状 |
神経症状 | 手足の震え、ふらつき、筋けいれん、四肢のしびれ |
精神症状 | イライラ、不眠、焦燥感、夢が多い |
熱感・消耗症状 | ほてり、のぼせ、微熱、口や喉の渇き |
目の症状 | 目のかすみ、視力低下、まぶしさ |
舌診 | 舌が赤く、苔が少ない、乾燥している |
脈診 | 細数(細くて速い脈)、弦細(緊張して細い脈) |
4. 陰虚生風の悪化条件
悪化要因 | 影響 |
長期の陰虚状態 | 陰がさらに消耗し、風が強くなる |
ストレス・怒り | 肝陽が昂り、内風の発生を加速 |
睡眠不足 | 肝血が補充されず、肝風がさらに動きやすくなる |
過度な運動 | 気血の消耗が進み、症状が悪化 |
辛い食べ物・アルコール | 体内の熱をさらに増加させる |
5. 陰虚生風の問診ポイント
- 手足の震えやしびれがあるか?
- 夜間に筋肉のけいれんが起こるか?
- ふらつきやめまいを感じることが多いか?
- 目が乾燥して、かすみやすいか?
- 熱っぽく、微熱が続くことがあるか?
- 口や喉が渇きやすいか?
- 舌が赤く、苔が少ないか?
- 不眠や焦燥感があるか?
★まとめ
- 陰虚生風は陰液:血・津液が極端に不足し、肝陽が抑えられずに風が発生する病態。
- 原因は慢性病・老化・ストレス・過労・睡眠不足など。
- 症状:手足の震え・めまい・ふらつき・しびれ・目のかすみ・夜間の筋痙攣・不眠
🌿 「陰を養い、肝風の暴走を防ごう!」
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