胃熱とは、胃に過剰な熱がこもり、胃の正常な機能が損なわれる病態を指します。
熱邪が胃に停滞することで、消化機能の亢進、炎症、口渇、異常な食欲亢進などの症状が現れます。
目次
胃熱の病因(発生要因)
胃熱の発生要因は、主に以下の通りです。
1.飲食不節(辛辣な食べ物、焼き物、揚げ物、酒などの過剰摂取)
- 辛辣・燥熱の食物が胃を刺激し、熱を生じる。
- 飲酒により湿熱が生じ、胃にこもる。
2.情志失調(ストレスや怒り)
- 怒りやストレスが肝気を上昇させ、肝火が胃を犯し、胃熱となる(「肝火犯胃」)
3.外邪の侵入(温熱邪)
- 外部からの熱邪(例えば高温多湿の環境)により、体内に熱がこもる。
4.陰虚による虚熱
- 長期間の陰液不足により、胃の熱を冷やす機能が低下し、虚熱が生じる(「陰虚胃熱」)
胃熱の病理メカニズム
- 胃に熱がこもると、消化機能が過度に亢進し、過食や異常な食欲が生じる。
- 胃熱が上昇すると、口渇、口臭、歯肉炎、口内炎が発生する。
- 胃熱が腸へ影響を及ぼすと、大便乾燥、便秘が生じる。
- 胃熱が肺へ波及すると、肺熱を伴い、咳や痰、喉の痛みが出ることもある。
- 胃熱が長期化すると、陰液を消耗し、胃陰虚を引き起こすことがある。
胃熱の影響を受ける臓腑と症状
1.胃(主臓)
- 口渇、口臭、歯肉腫脹、口内炎、胃痛、胸焼け、食欲亢進
2.大腸(関連臓腑)
- 便秘、乾燥便
3.肺(関連臓腑)
- 口渇、喉の痛み、乾咳
胃熱の主な症状
- 口渇、冷たい飲み物を好む
- 口臭
- 歯肉の腫れや出血
- 口内炎
- 胃痛、胸焼け
- 異常な食欲亢進
- 便秘(乾燥便)
- 舌:紅色、舌苔は黄膩
- 脈:滑数
胃熱の悪化条件
- 辛辣・熱性の飲食物の過剰摂取(唐辛子、揚げ物、酒、焼肉など)
- 情志の不調(ストレス・怒り)(肝火が胃に影響を及ぼす)
- 長期間の便秘(腸内に熱がこもり、胃熱を助長する)
- 夜更かし・不規則な生活(陰液が消耗し、胃熱が助長される)
胃熱の問診ポイント
- 食欲は異常に亢進しているか?
- 口渇や口臭はあるか?
- 便秘や乾燥便があるか?
- 胃痛や胸焼けはあるか?
- 辛辣な飲食を好むか?
- ストレスや怒りで症状が悪化するか?
- 舌の状態(紅舌・黄苔)を確認
★まとめ
胃熱は、辛辣な飲食やストレス、陰虚による熱の蓄積で生じる症状です。
口渇・口臭・胃痛・便秘などの症状が特徴です。
問診して、適切な処方を選択することが大切です。
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