1.女子アスリートのパフォーマンスとエストロゲン
女子アスリートの成績と月経の時期が関連するという報告があります。
特に、エストロゲン値がピークとなる排卵周辺の時期に最もよい成績となるという
選手もおりますが、半数程度は月経時期とは関係がないと述べています。
女子アスリートのエストロゲンの作用とパフォーマンスとの関係を調べるために
経口避妊薬による影響をみた研究があります。
それによると、少なくとも持久力を必要とするボート競技のような種目では、
経口避妊薬の影響はみられません。なお、経口避妊薬を服用すると体内のエストロゲンの
総括性は非服用者と比較して若干高まります。なぜなら、経口避妊薬は最少必要量
ではありますが、活性の高い合成エストロゲンを含有しているからです。
このことからスポーツの種類にもよりますが、女子アスリートではエストロゲンの高低と
パフォーマンスとは直接の関連はないようです。
2.女子アスリートと無月経
女子のアスリートにはしばし無月経がみられます。
ある調査では、一流の女子マラソン選手の約2割が無月経であるという報告です。
体重を落とすほうが有利になるスポーツでは、努力して食事を制限して体重を減らした結果
無月経になりやすいです。あるいは、激しいトレーニングによるストレス、または競技に対する
不安や緊張などでも生殖機能は障害されます。いずれにせよ無月経になると、エストロゲンの分泌は
著しく低下し、骨量が減少して骨折が起こりやすくなります。
そうなると運動どころではなくなります。女子アスリートの一部では無月経を歓迎するような向きも
ありますが、骨のみならず血管や心臓に対する悪影響や、将来の生殖能力を低下させることもあり
月経がなくなることの有害性をよく指導する必要があります。
3.男性ホルモンはドーピング剤にあたる
ドーピングとは、アスリートたちが競技能力を高める目的で禁止されている薬剤を
使用することです。ドーピングはスポーツマンシップに反するとともに、医学的にも選手の
健康を損ねる危険性があります。なお、禁止薬剤の国際基準が定められています。
その中で代表的なものが男性ホルモンです。それ以外だと、興奮剤、覚せい剤、成長ホルモン、
エリスロポエチン(赤血球の産生を刺激するホルモン)などがあります。
☑ドーピングの歴史
ドーピングの歴史はギリシャ時代にさかのぼります。
ギリシャ時代に、格闘技士たちがヒツジの睾丸を食べたといわれています。
当時は男性ホルモンの存在さえわからなかったが、確かにヒツジの睾丸には
男性ホルモンが含有されています。しかしながらそれを食べても体内に吸収されず、
実際の効果に関してはきわめて疑わしいです。
4.男性ホルモンの分泌が多い女性
血中テストステロン値が高い女性は、瞬間的な筋力を競う競技では有利となります。
体質的に月経不順で、排卵を欠くことが多い女性が約10%存在します。
このような女性では、卵巣からエストロゲンは持続的に分泌されていますが、
テストステロンは月経が規則的にみられる女性よりも若干多く分泌されます。
まれではありますが、テストステロンの分泌量が異常に高い女性がいます。
たとえば、生殖能力を欠く性分化異常の女性などであります。このような女性では、
外性器は女性型でも体内には卵巣はなく精巣があり、そこから相当量のテストステロンが
分泌されていることがあります。女性は本来男性と比べてテストステロンがはるかに
低値のため、テストステロン分泌が多少なりとも高めの女性は、アスリートにとっては
大変有利な立場になります。


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