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女性はなぜ長生きなのか

目次

1.女性が男性より長生きする理由

人類の寿命が大幅に伸びたのは、20世紀に入ってからであります。

理由として、医学の進歩、栄養状態の改善、公衆衛生の向上、生活環境の近代化

などの人為的な因子が関与しています。

そして、現在多くの国々では平均寿命は女性のほうが長いです。女性のほうが長寿傾向なのは

高度な文明を構築した人類特有のものなのか、あるいは生物学的に女性は男性と比べ、疫病を

免れるような、あるいは疫病に対する抵抗力があるのでしょうか。

もしそうだとすればエストロゲンの影響が関係しているのでしょうか。

☑人間以外ではどうなのか

文明の恩恵に浴していない野生の霊長類の寿命の調査では、多くの霊長類ではメスのほうが

長生きする傾向がみられています。水生の哺乳類であるシャチやマッコウクジラでもメスのほうが

長生きするといわれています。

☑男女の寿命と文明の進歩

男女の寿命と文明の進歩との関連をみるために、近代社会以前の寿命の比較がスウェーデンで

なされています。1751年から40年間にわたる調査によると、当時の女性の平均寿命は

36.6歳、男性が33.7歳でした。いずれも現在とは比較にならないほど短いですが、

やはり女性のほうが長生きする傾向にありました。この当時は、近代医療を受けることはできず

病気にかかっても人為的な介入で病気の自然経過を変えることは難しく、男女に本来備わった

“寿命”が反映されていたのでしょう。

2.女性が長生きする生物学的合理性

女性の健康が生まれつき守られているということは、生殖における男女の役割や

負担を考えると合理的であります。実際に子供を産む、あるいは母乳により子供を

育てるというのは女性にしかできない役割であり、少なくとも妊娠や育児の期間

に母親が健康を害すると子供が育ちません。動物の進化の方向性を眺めてみると、

子孫の数を増やすような進化は、当該種の繁栄に有利に働いているようです。

有効な避妊法がなく、しかも現在のような産科医療が進歩していない時代には、

妊娠、出産はさらに命がけであり、はたして女性の寿命が男性より長かったかについては

疑問です。このような時代では、女性のほうが妊娠や出産に伴うリスクを除く全般的健康度

において、男性より恵まれているほうが種としての繁栄を遂げるためにことさら合理性があります。

3.エストロゲンと女性の身体の結びつき

最近、酸化ストレスと動脈硬化、心臓尿などの病気や老化との関係が注目されています。

特に細胞内のエネルギー産生器官であるミトコンドリアは、酸素化合物(活性酸素)の

発生源であります。酸素化合物は蛋白質やDNAを損傷します。この現象を酸化ストレスといいます。

ミトコンドリアは特に活性酸素により障害されやすく、その結果細胞機能が低下して、

動脈硬化、糖尿病、神経疾患、がんなどのさまざまな病気や老化現象を引き起こします。

生殖年齢にある女性の血中に存在する濃度のエストロゲンは、活性酸素による細胞障害を

防ぐ作用があります。エストロゲンのこのような作用が、寿命の性差と関係していると

いわれています。

☑男女のがんの罹患率

現在、死因の第一位はがんであり、平成22年度では男性の生涯の60%ががんに罹患しています。

一方、女性は45%と明らかに少ないです。一般に高齢者ほどがんにかかりやすくなり、

高齢者の過半数は女性であることを考えると、女性は男性よりがんにかかりにくいといえます。

またあらゆるがんによる死亡率も男性のほうが女性の約1.5倍であります。

乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの女性、または男性に特異的な部位のがんを除くと

大部分の臓器がんの罹患率は男性のほうが高いです。がんの罹患率の性差も男女の寿命の差異と

関係していると考えられます。

☑男女特有のホルモンとの関係

男女の寿命の差としては、男女の生物学的な違いによるものと、社会的役割が異なることや

たばこ、アルコールなどの嗜好品の男女差なども考えられますが、これらの因子を除去しても

依然として男女差があります。

男女特有のホルモン、すなわちエストロゲンや男性ホルモンが、がんの発生率の性差と関係

しているのでしょうか。例えば、肝臓がんは男性のほうがはるかに多いです。

その原因のひとつにB型肝炎ウイルスの感染があります。男性ホルモンはウイルスを増やし、

がん化に促進的に作用しますが、逆にエストロゲンはウイルスの増殖を抑えるように作用し、

その結果がんを防ぐことになると考えられます。

以上のように、女性が男性よりも長寿の傾向があるのはエストロゲンの作用が大きく関わって

いるようです。エストロゲンは妊娠の成立のみならず、母体の健康を守ることで胎児が順調に発育し、

安全に分娩を終了し、さらに育児を完遂することまで意を注いでいるという見方もできます。

つまりエストロゲンは確実に子孫を残すように女性の身体を操っており、女性の長寿はその

余得であるという解釈もできます。

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この記事を書いた人

埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。

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