肝胆湿熱(かんたんしつねつ)の病理
目次
1. 肝胆湿熱とは?
☑ 「肝胆湿熱」とは、湿邪(しつじゃ)と熱邪(ねつじゃ)が肝胆に滞り、気・血・津液の流れを阻害することで発生する病理状態。
☑ 「湿」は粘滞性があり、邪気がこもりやすく、「熱」は炎症や亢進を引き起こす。
☑ 主に、黄疸・口苦・脇痛・イライラ・湿疹・尿の濃縮などの症状を引き起こす。
2. 肝胆湿熱の病因(発生要因)
病因の分類 | 具体的な病因 | 病理的影響 |
六淫(外因) | 高温多湿の環境、湿邪の侵襲 | 湿邪が内にこもり、熱と結びつく |
飲食不節(内因) | 脂っこい食事、辛いもの、アルコール | 湿熱が生じ、肝胆の気機を阻害 |
七情(精神的要因) | 怒り・ストレス・焦燥 | 肝気鬱結が進行し、熱化して湿熱を助長 |
脾虚(内因) | 胃腸の虚弱による水湿の停滞 | 湿邪が内生し、肝胆に影響 |
3. 肝胆湿熱の病理メカニズム
🌿 正常な肝と胆の関係
- 肝は疏泄を司り、気の流れや感情のコントロールを担当する。
- 胆は決断をつかさどり、胆汁を分泌して消化を助ける。
- 肝胆は相互に影響しあい、正常な消化や気の流れを維持する。
🔥 肝胆湿熱の異常な流れ
- 飲食の不摂生・湿邪の侵入・肝気鬱結によって、湿邪と熱邪が結びつく
- 肝胆の気機が阻害され、胆汁の分泌異常や消化不良が起こる
- 湿熱が胆汁の流れを妨げ、黄疸・口苦・脇痛が発生
- 熱が皮膚や尿路へ波及し、湿疹・陰部のかゆみ・尿の濃縮が出現
4. 肝胆湿熱の影響を受ける臓腑と症状
影響を受ける臓腑 | 病証名 | 主な症状 |
肝(疏泄異常) | 気機阻滞 | 胸脇の張り、イライラ、怒りっぽい |
胆(胆汁の滞り) | 胆汁うっ滞 | 黄疸、口苦、消化不良 |
脾(消化機能低下) | 湿困脾胃 | 食欲不振、腹部膨満感、軟便 |
皮膚(湿熱の発散) | 湿疹・かゆみ | 湿疹、赤み、じゅくじゅくした皮膚 |
尿路(熱の排泄) | 下焦湿熱 | 尿の色が濃い、尿の灼熱感 |
5. 肝胆湿熱の主な症状
症状の種類 | 具体的な症状 |
消化器症状 | 口苦、食欲低下、吐き気、黄疸、便が軟らかく臭い |
精神症状 | イライラ、怒りっぽい、集中力低下 |
皮膚症状 | 湿疹、じゅくじゅくした赤み、かゆみ |
泌尿器症状 | 尿が黄色く濃い、排尿時の灼熱感 |
胸脇症状 | 胸脇の張り、痛み |
6. 肝胆湿熱の悪化条件
悪化要因 | 影響 |
油っこい食事・アルコール | 肝胆湿熱を助長し、症状が悪化 |
ストレス・怒り | 肝気鬱結が進み、湿熱の発生が促進 |
暑く湿気の多い環境 | 外湿が影響し、湿熱がこもりやすくなる |
運動不足 | 気血の巡りが悪くなり、湿邪が停滞 |
7. 肝胆湿熱の問診ポイント
- 最近、口が苦く感じることがあるか?
- 尿の色が濃くなったり、排尿時に熱感を感じるか?
- 皮膚にじゅくじゅくした湿疹やかゆみがあるか?
- イライラしやすく、怒りっぽくなっていないか?
- 胸脇部(あばら周辺)に張りや痛みを感じることがあるか?
★まとめ
- 「肝胆湿熱」とは、湿邪と熱邪が肝胆にこもり、気機を阻害する病態。
- 主な原因は「脂っこい食事・アルコール・ストレス・湿気」。
- 症状は「口苦・黄疸・胸脇痛・湿疹・尿の濃縮」。
- 治療は「清熱利湿・疏肝利胆・健脾化湿」が基本。
🌿 「肝胆を整え、スッキリ爽快に!」
この記事を書いた人
埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。
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