汗証:異常な発汗の事
中医学では**自汗(じかん)・盗汗(とうかん)**に大別されます。
- 自汗(じかん) → 覚醒時の異常発汗(陽虚・気虚が原因)
- 盗汗(とうかん) → 睡眠中の異常発汗(陰虚が原因)
目次
汗証の分類と治療法
問診では、五臓・五志・六淫・七情・陰陽の虚実・痰飲・瘀血を考慮し
病理・悪化条件を見極めます。
気虚による自汗(衛陽不固)
🔹 病理
- 衛気(防御機能)が不足し、汗腺を制御できない。
- 軽労・疲労後に汗が出る。
- 体力が低下している人に多い。
🔹 悪化条件
- 運動後や軽労で悪化
- 疲労・睡眠不足
- 風に当たると汗が止まらない
🔹 問診のポイント
- 五臓: 脾・肺
- 五志: 思慮過度(脾気虚)
- 六淫: 風邪(衛気が弱い)
- 七情: 心配・過労で悪化
- 陰虚・陽虚: 陽虚なし、陰虚なし
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし
🔹 主な症状
- 日中の自汗(特に午前)
- 倦怠感・息切れ
- 食欲不振・軟便
- 舌淡、苔白
- 脈細無力
陽虚による自汗(腎陽不足)
🔹 病理
- 腎陽が不足し、汗腺をコントロールできない。
- 四肢の冷えを伴う。
🔹 悪化条件
- 寒冷環境で悪化
- 疲労で悪化
- 夜間にも汗が出る場合あり
🔹 問診のポイント
- 五臓: 腎・脾
- 五志: 恐れ(腎陽虚)
- 六淫: 寒邪(陽虚により寒邪に弱い)
- 七情: 長期ストレスで悪化
- 陰虚・陽虚: 陽虚
- 痰飲: なし
- 瘀血: なし
🔹 主な症状
- 全身の冷え・四肢冷感
- 日中の自汗+冷汗(特に午前)
- 顔色蒼白・無力感
- 舌淡、苔白滑
- 脈沈遅
陰虚による盗汗(虚熱による発汗)
🔹 病理
- 陰が不足し、虚熱が発生し、夜間に発汗する。
- 更年期・慢性疾患後の消耗で発生しやすい。
🔹 悪化条件
- 夜間・就寝中に悪化
- ストレス・精神的緊張
- 乾燥環境・辛いもの・アルコール
🔹 問診のポイント
- 五臓: 肺・腎
- 五志: 不安(腎陰虚)
- 六淫: 熱邪
- 七情: ストレスで悪化
- 陰虚・陽虚: 陰虚
- 痰飲: なし
- 瘀血: あり(長期化で)
🔹 主な症状
- 夜間盗汗(特に寝入りばな)
- 口渇・ほてり・のぼせ
- 動悸・不安感
- 舌紅、苔少(乾燥)
- 脈細数
湿熱による自汗・盗汗(湿熱蒸騰)
🔹 病理
- 体内に湿熱がこもり、発汗を引き起こす。
- 肥満・消化不良・湿度の高い環境で起こる。
🔹 悪化条件
- 湿度が高い環境で悪化
- 脂っこいもの・甘いものの摂取
- 湿熱体質の人に多い
🔹 問診のポイント
- 五臓: 肝・脾
- 五志: 怒り・憂鬱(肝鬱化火)
- 六淫: 湿熱
- 七情: ストレスで悪化
- 陰虚・陽虚: なし
- 痰飲: あり
- 瘀血: なし
🔹 主な症状
- 日中の発汗(湿気の多い環境で悪化)
- 汗がベタつく・臭いが強い
- 口苦・口渇・腹部膨満感
- 舌紅、苔黄膩
- 脈滑数
まとめ
- 自汗(気虚・陽虚・湿熱) → 日中に発汗が多い
- 盗汗(陰虚) → 夜間に発汗が多い
ご相談お待ちしています。
コメント