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子宮内膜分泌期 中西医統合の診断図

着床とは

生命の種が土壌に根を下ろす瞬間です。

西洋医学はホルモンと構造を中医学は気血と環境を重視します。

両者を架橋することで

子宮内膜という“土壌”の温・潤・通・安を整える道筋が見えてきます。

黄体期における着床環境の中医学的評価と対応を 視覚的に整理しました。

目次

子宮内膜分泌期 中西医統合の診断図

【第1段階】全体像の把握

🔹目的

子宮内膜が「温かく・潤って・血が巡る」状態かを確認。

チェック項目傾向判定
高温期が短い(10日以下)陽気不足→ 腎陽虚
高温期が不安定(ギザギザ)陰陽不調→ 腎陰陽両虚 or 肝気鬱
高温期が高すぎる(37.3℃以上続く)虚熱→ 陰虚火旺
内膜が薄い(7mm以下)血虚 or 陰虚→ 血虚・陰虚
経血が少なく淡い・粘調性血虚・陰虚→ 補血・滋陰
経血が黒っぽい・塊・下腹痛瘀血→ 活血化瘀
手足が冷える・基礎体温低い腎陽虚→ 温補腎陽
眠りが浅く夢が多い・不安感心脾両虚 or 陰虚→ 養血安神 or 滋陰清心

【第2段階】弁証分岐

A. 腎陽虚(温不足タイプ)

  • 冷え・腰痛・足冷・顔色白・舌淡胖・脈沈細
  • 【子宮状態】温度低く血行不良、内膜発育遅延
    方意:温腎助陽・温養沖任
    代表方剤:温経湯・右帰丸・四物湯+杜仲・黄耆

B. 腎陰虚(潤い不足タイプ)

  • 舌紅少苔・ほてり・喉乾・眠り浅い・皮膚乾燥
  • 【子宮状態】乾燥気味、分泌物少、内膜薄
    方意:滋陰補腎・養血調経
    代表方剤:六味地黄丸・左帰丸

C. 陰陽両虚(陽の温・陰の潤いがともに不足)

  • 冷えとほてりが混在、舌淡紅少苔、脈沈細無力
  • 【子宮状態】温もりも潤いも不足し、内膜発育不良
    方意:温補腎陽・滋陰養血
    代表方剤:十全大補湯

D. 肝気鬱滞(気の滞りタイプ)

  • 高温期不安定、胸脇脹満、情緒不安、経前乳房張痛
  • 【子宮状態】血流リズム乱れ、着床時期ずれ
    方意:疏肝理気・調経活血
    代表方剤:逍遥散・加味逍遥散・四逆散+当帰

E. 気血両虚(脾虚を中心とした血の生化不足)

  • 倦怠・息切れ・めまい・舌淡・脈虚細
  • 【子宮状態】内膜発育弱く、栄養不足で着床困難
    方意:健脾益気・養血安神
    代表方剤:帰脾湯・十全大補湯

F. 瘀血阻滞(血行障害タイプ)

  • 経血黒・塊・腹痛・刺痛・舌紫暗・脈渋
  • 【子宮状態】血流停滞、内膜局所の代謝低下
    方意:活血化瘀・温経調血
    代表方剤:温経湯・桃紅四物湯・・桂枝茯苓丸

***

 中西医統合の診断図イメージ(文字ベース)

高温期短い・体冷え・舌淡 → 腎陽虚 → 温経湯・右帰丸

   |

   → 冷え+内膜薄 → 四物湯+黄耆・杜仲

高温期不安定・ほてり・舌紅少苔 → 腎陰虚 → 六味地黄丸・坤元丸

   |

   → 冷え+ほてり混在 → 二仙湯・坤元丸+巴戟天

胸脇張る・イライラ → 肝気鬱 → 加味逍遥散・四逆散加当帰

倦怠・顔色淡・眠り浅い → 気血両虚 → 帰脾湯・八珍湯 経血黒塊・刺痛・舌紫 → 瘀血 → 温経湯・桃紅四物湯


💡補足:理想的な黄体期(着床期)の中医像

要素中医学的キーワード生理的意味
腎陽・脾陽内膜血流・温度維持
腎陰・血子宮内膜の分泌液(グリコーゲン)
肝気・血行胞宮の血流とホルモン循環
心神安定プロゲステロン分泌の安定

子宮内膜の状態は

単なる数値ではなく“気血の語りかけ”です。

冷えや乾燥、血行不良は

それぞれ腎・肝・脾の声かもしれません。

弁証を通じてその声に耳を傾けることで、

“自分の身体の物語”を理解し、治療に主体的に関わることが可能になります。

中医学の視点は診断を超えて“共に歩む医療”への扉を開いてくれます。

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この記事を書いた人

埼玉県羽生市にある漢方薬局・鍼灸院 眞健堂です。
眞健堂は1987年、埼玉県羽生市に漢方薬局として開業いたしました。
2021年より鍼灸院を併設。
「眞ごころをもって、地域の皆様の健康をサポートする」ことをモットーに、地域の皆様が、抱えている不調から解放され、毎日をもっと楽に、楽しく、豊かに過ごしていけるように寄り添い続けます。

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